名古屋経済大(愛知県犬山市)の学生が、ロシアの侵攻が続くウクライナの首都キーウ(キエフ)在住のジャーナリスト、寺島朝海(あさみ)さん(22)から話を聞くオンラインセミナーが開かれた。寺島さんは「遠く離れた国だが、できるだけウクライナについて知って、考えてほしい」と訴え、学生は真剣な表情で耳を傾けた。
寺島さんは大学4年生。ウクライナの英字メディア「キエフ・インディペンデント」の記者としても活動し、ロシアによる侵攻後も国内に残って取材を続けている。セミナーは、同大経営学部の松井義司教授が会社員として海外赴任していた際、寺島さん一家と交流があった縁で実現。経営学部1年生と国際交流サークル所属の学生の中から希望者約20人が参加した。
セミナーで寺島さんは、地元新聞社でインターンシップを始めたことをきっかけに記者を始めたことや、ロシア侵攻後のウクライナの現状などを写真や地図を交えて説明した。
学生からは現地の様子や取材方法について質問があった。「一番危険だと感じた取材は」と問われ、寺島さんは地雷が撤去される前の街での取材を挙げた。また「記事を書く上で一番気を付けていることは何か」との質問に、「つらい体験を語ってくれる人の気持ちを大切にし、信頼関係を作りたいと思いながら取材している」と話した。
約1時間のセミナー後、参加した学生からは「ニュースよりはるかに残酷だと感じた」「日本で平和に生活できていることは当たり前ではない」などと感想が寄せられた。【田中理知】