市民ら献花「本当に残念」=犠牲者悼み、不明者発見願う―知床事故1カ月・北海道

「本当に残念」「早く見つかって」。北海道・知床半島沖で26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故は、23日で発生1カ月となった。乗客の遺体が一時安置された斜里町の体育館には多くの人が献花に訪れ、犠牲者を悼み、行方不明者12人の早期発見を願った。
献花台には午前10時ごろ、国土交通省の中山展宏副大臣と斜里町の馬場隆町長が訪れた。馬場町長は「1カ月とはいえ、区切りでも何でもない。捜索は懸命に続けられ、行方不明者の家族も発見を心待ちにしている。町はこれからも家族に寄り添っていきたい」と話した。
中標津町の農業太田公一さん(57)は、妻と共に足を運んだ。「乗客それぞれにも将来があった。悲惨な事故に巻き込まれたことが本当に残念」と語り、犠牲者の冥福を祈った。知床は何度も観光旅行で訪ねたお気に入りの場所といい、「悲しい事故があったことは忘れることができない」と涙ぐんだ。
釣りで知床に行ったことがある北見市の自営業柴山杲さん(75)は、不明者の早期発見を願いながら花を供えた。「あまりにも事故から日がたっている。本当に早く見つかってほしい」と祈るように話した。
知床斜里町観光協会の野尻勝規会長(53)も献花に訪れ、「一日でも早く発見することを祈念した。家族の心情を察すると胸が苦しい。これから観光シーズンを迎える。いま一度、安全面を見直して信頼回復に努めたい」と語った。
献花台近くの生花店「知床フラワーさかい」では事故後、花を買い求める人が増えた。坂井昌斉店長(46)は「献花のため、遠方から訪れる人もいる。店頭の花が途切れないよう、今後も店としてできることをしたい」と話した。
町によると、献花台には23日までに834組が訪れ、花を手向けたという。
[時事通信社]