奈良県教委は2022年度、さまざまな項目でいじめの兆候を判断する「いじめモニタリングシステム」を、県内の3公立小学校で試験運用すると明らかにした。教員の力量に左右されず一律の基準で判断することで子どもの異変に気づき、問題の早期解決を目指す。システムが実際に役立つか検証し、他の学校に広げるかどうか判断する。
19日に奈良市内であった、県いじめ対策連絡協議会(会長=千原雅代・天理大大学院教授、委員13人)で県教委が明らかにした。
いじめモニタリングシステムは協議会が考案した。担任教師らがパソコンを使って児童の危険度を判断。いじめに遭っているかどうかは「可能性」「可能性大」「深刻な可能性」の3段階に分類した。
それぞれの段階ごとに「授業中にボーッとする」「登校を渋る」「靴や持ち物がなくなる」など計18の確認項目を設定。一つでも該当した生徒にはチェックを付けて、学校全体で生活状況などに注意を払ってもらう。いじめに遭っている可能性に応じ、見守りを強化したり、対策委員会を設けたりと学校が講じるべき対策も求めた。システムは各市町村教委も閲覧できる。
試験運用の対象校は、五條市立北宇智小と河合町立河合第一、同第二小の3校で始まる。北宇智小は21年度3学期から運用を始めており、継続となる。
協議会は運用の結果などを基にシステムを更新していくほか、将来は中学向けも開発する予定だ。協議会長代理の戸田有一・大阪教育大教授は「いじめを同じ基準で、漏れがないよう認知するのが目的。まず小学校3校で実施して問題点を把握し、改善していきたい」と話した。【村瀬達男】