給与未払い問題を巡って教員からストライキを起こされるなどの騒動に発展している和歌山南陵高校。運営母体の「学校法人南陵学園」で理事長を務める小野和利氏が、自身のファミリー企業に、国からの補助金である就学支援金の一部を移していたことが、「 週刊文春 」の取材で分かった。
和歌山南陵高校の関係者が明かす。
「小野理事長がかつて代表取締役を務めていた株式会社青幸との間で、不可解なお金のやりとりが頻繁に行われています。青幸は、現在は小野氏の娘婿が社長を務めている産廃業者で小野氏のファミリー企業です。和歌山南陵高校の寮の運営を委託されていますが、寮費のやり取りは保護者と直に行われており、学校との間で直接の取引は本来ありません。それなのに、生徒の数が減り学校の経営が厳しくなると、青幸からお金を工面し、補助金等が学校に入ると青幸に戻す、といった公私混同を小野氏は繰り返してきました。この件は既に和歌山県にも訴え出ています」
小誌は県庁関係者に取材を進め、内部資料を入手。そこには昨年7月20日、「学校法人南陵学園理事長小野和利」名義の口座に、国からの就学支援金を受ける専用口座から、1161万8040円が振り込まれていることが記されていた。そして、翌21日にはその口座から株式会社青幸に450万880円が振り込まれたと記されていた。つまり就学支援金が小野理事長の口座に移され、そこからさらにファミリー企業に移されていたのだ。
「そうした流用の末、就学支援金が充てられるはずの保護者への授業料の一部返還が遅れ、県から指導を受けていました」(同前)
法的問題を弁護士が指摘
和歌山県庁文化学術課に聞くと確かに今年2月~4月に計7回、指導が行われていたことも分かった。文部科学省の担当者に聞くと、こう答えた。
「就学支援金の使途は基本的には授業料のみ。国からお金が振り込まれた時点で、学校は保護者から預かっていた授業料をすぐに返す必要があります」
こうしたお金の動きに法的問題はないのか。原田綜合法律事務所の原田和幸弁護士が解説する。
「国から支給され、本来自分が自由にできるお金ではないものを自分のものとした場合、業務上横領罪として10年以下の懲役となる可能性がある。また、学校との信任関係に違背し学校に損害を与えた場合、背任罪として5年以下の懲役又は50万円以下の罰金になる可能性もある」
小野氏に就学支援金について直撃したが、
「一切取材やりませんので。弁護士の方行ってくれる?」
顧問弁護士に質問状を送付したが、締め切りまでに回答はなかった。
5月25日(水)12時配信の「 週刊文春 電子版 」および26日(木)発売の「週刊文春」では、小野氏の教師や生徒へのパワハラやセクハラなどについても報じている。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年6月2日号)