北海道・知床半島沖で沈没した観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」の船体が26日夕、海上保安庁が委託した「日本サルヴェージ」の作業船「海進」による引き揚げ作業で海面上まで浮上した。
第1管区海上保安本部などによると、24日のえい航中に船体が落下したのは、ウトロ漁港(北海道斜里町)から西へ約11キロ離れた海域。この現場で26日午後3時ごろ、船体のつり上げが始まった。海進の乗組員らが時折海面をのぞき込む中、水深182メートルの海底からゆっくりとウインチで引き揚げられた。
そして午後7時ごろ、白い船体の大部分が海面上に浮上した。1管は当初、つり上げ開始から船体を浮上させるまでの所要時間を約1時間と説明していた。しかし作業に慎重を期したためか、海面に上げるまで約4時間を要した。
浮上した船体の様子について、山田吉彦・東海大教授(海洋政策)は「あまり傷がついておらず、大きく何かに乗り上げた形での座礁とは考えづらい」と話した。また海上への引き揚げ作業が完了した後の見通しについて、「事故原因を調査する上で大きな進展になる」と説明。船体の損傷状況を確認できるだけではなく、船内に乗客の携帯電話や時計が残されていれば、事故が起こった正確な時間を推測できるという。
また、国土交通省北海道運輸局は26日、運航会社の「知床遊覧船」と同じ斜里町ウトロ地区を拠点とする同業者計3社に対し、海上運送法などに基づく監査を始めた。28日まで実施する。
3社は運輸局が17日に実施した緊急安全点検で計12件の違反が見つかっており、監査で改善状況などを確認する。3社は既に6月10日までの営業自粛を決めている。【加藤佑輔、遠藤龍、北村秀徳】