愛知・豊橋の車暴走3人殺傷 検察側「最も悪質」 懲役30年求刑

愛知県豊橋市で2020年7月、除草作業の現場に乗用車で突っ込み3人を殺傷したとして、殺人罪などに問われた無職、青野圭被告(28)=静岡県掛川市=の裁判員裁判が27日、名古屋地裁岡崎支部(村瀬賢裕裁判長)であり、検察側は「高速度で走らせた車を凶器とした無差別殺人で、殺人の中でも最も悪質だ」として懲役30年を求刑した。弁護側は殺意がなく殺人罪は成立しないと主張して結審した。判決は6月3日。
青野被告は公判で「現場に人がいると認識していなかった」などと説明。弁護側は事故を起こした事実は認めており、殺意の有無や程度が争点となっている。死亡した警備員の夏目喜生さん(当時46歳)の妻(38)が被害者参加制度を利用し「かけがえのない人だった。楽しかったときを思い出すと涙が止まらなくなる。(被告を)許すことはできない」と意見陳述した。
検察側は論告で、被告が障害物をよけながら6分間にわたり時速130キロで車を走らせていたと指摘。夏目さんが現場で大きな緑色の旗を振っていたとして「前方にいた夏目さんを見逃すはずはない」と訴えた。
一方、弁護側は最終弁論で、青野被告に旗の記憶がなく「夏目さんの存在を認識できなかった可能性がある」として過失運転致死罪しか成立しないと主張。被告は「被害者の方々には大変申し訳なく思っている。暴走も殺すつもりもありませんでした」と述べた。
起訴状によると、青野被告は20年7月、無差別殺人をしようと考えて豊橋市の県道で時速130キロまで車を加速させ、中央分離帯の除草作業のため交通整理をしていた夏目さんをはねて殺害し、作業中のパート男性2人にも重傷を負わせたとされる。【藤顕一郎】