ウィシュマさん妹が再来日 入管死国賠訴訟「真相に近づければ」

名古屋出入国在留管理局(名古屋入管、名古屋市)に収容中だった2021年3月に死亡したスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)の妹で次女のワユミさん(29)が28日、再来日した。ウィシュマさんの死を巡る国家賠償請求訴訟で6月8日に開かれる第1回口頭弁論で意見陳述するために日本に戻った。成田空港で記者会見したワユミさんは「裁判で姉の死の真相に少しでも近づければと期待している」と語った。
成田空港の到着ロビーでは、三女のポールニマさん(28)や、代理人の指宿昭一、駒井知会両弁護士らがワユミさんを出迎えた。
新型コロナウイルス感染症対策で待機に入る前に報道陣の取材に応じたワユミさんは「これまでのように、日本の国民の皆さんにも応援していただきたい」と話した。ポールニマさんも「裁判に二人で対応できて勇気が出る」と語った。
ワユミさんは、ウィシュマさんの収容中の監視カメラ映像と、出入国在留管理庁(入管庁)がまとめたウィシュマさんの死に関する調査報告書の記述の間にはぶれがあるとして「信用できない」と指摘。「裁判で映像を見てもらい、違いを確認してほしい。そのうえで、姉の死に責任がある人々を明らかにしてほしい」とも述べた。真相究明をさらに進めるよう要請するため、古川禎久法相に面会したい意向も明らかにした。
ワユミさんらは21年5月1日に来日。姉の監視カメラ映像や司法解剖結果などの全面的な開示や提供を求めて、上川陽子法相(当時)や佐々木聖子入管庁長官に面会して直接要請するなどした。
入管側は21年8月と9月に約2時間に編集した映像を遺族に開示。だが、ワユミさんは求めていた弁護士の同席が許されない中で苦しむ姉の映像を見た結果、「大きな精神的衝撃を受けた」と訴え、精神的に不安定な状態が続く母親のケアも理由として21年9月に一時帰国した。ポールニマさんは日本で真相究明の活動や裁判の準備に当たってきた。
亡くなったウィシュマさんは日本語を学ぶために17年6月に来日したが、学校に行かなくなって在留資格を失い、20年8月に静岡県で警察に出頭し、名古屋入管に収容された。
21年1月中旬ごろから体調不良を訴え、点滴や入院、健康上の理由から一時的に収容を解く「仮放免」を求めたが認められず、21年3月6日に緊急搬送先の名古屋市内の病院で死亡が確認された。
入管庁は調査報告書で、ウィシュマさんは「病死」とみられるが詳細な死因の特定は困難とした。名古屋入管での医療体制が不十分だったなどとして12項目の改善策を実施し、22年4月の時点で11項目は「実施済」としている。【和田浩明】