スマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」をしながら運転していたトラックによる事故で2016年、当時9歳だった次男を亡くした則竹崇智さん(51)=愛知県立一宮東特別支援学校教諭=が、倉敷市立短期大学(岡山県倉敷市児島稗田町)で講演し、「スマホは『手のひらの凶器』にもなりうる」と述べ、命の大切さと「ながらスマホ」の危険性を訴えた。【平本泰章】
16年10月、愛知県一宮市の市道交差点で、長男らとともに集団下校中だった次男の敬太さんは横断歩道を渡っていてトラックにはねられ、死亡した。運転手はスマホでゲームをしながら運転しており、ながらスマホの危険性が認知されるきっかけとなった。
学生ら約270人を前にした講演会の冒頭、敬太さんと祖父母、両親、兄が写った家族写真を見せながら、則竹さんは「今でも6人家族と思っている」と強調。事故直後に長男が「敬太の水筒、壊れちゃった。元に戻してやらないと……」と事故の衝撃でへこんだ水筒を握りしめていたエピソードなどを、時折声を詰まらせながら紹介した。
事故後、則竹さんがゲーム運営会社に規制強化を求めたことなどがメディアで取り上げられると、SNS上で中傷されたこともあったという。「スマホは便利でいつでもどこでも使える分、使い方を間違えると(他人の)心も体も傷つける凶器になる」と訴えた。
講演を聞いた2年の赤木莉緒さん(19)は「身近な人が突然事故で亡くなった時のことを考えると、とてもつらい気持ちになった」といい、「高校生の時にイヤホンで音楽を聴きながら自転車に乗ったことがあった。これを機に、事故が起きないように一層気をつけたい」と肝に銘じていた。