国税職員ら、高校生らを暗号資産事業に加入させ「収入減らした投資家」と給付金詐欺

新型コロナウイルス対策の国の給付金がだまし取られた事件で、詐欺容疑で逮捕された東京国税局職員ら7人のグループが、給付金の申請名義人となった学生らを「マイニングエクスプレス」と呼ばれる暗号資産の関連事業に加入させていたことが捜査関係者への取材でわかった。グループの数人は調べに「新規会員を増やすと紹介料がもらえた」と供述しており、警視庁が実態を調べている。
逮捕されたのは、東京国税局鶴見税務署職員の塚本晃平容疑者(24)(横浜市旭区鶴ヶ峰本町)ら。
発表によると、7人は2020年8月頃、埼玉県の当時17歳の男子高校生(詐欺容疑で書類送検)がコロナ禍で収入を減らした個人投資家だと偽り、国の持続化給付金100万円をだまし取った疑い。同様の手口で約200件の不正受給を繰り返し、約2億円を不正に得たとみられる。
捜査関係者によると、詐取した給付金の大半は、暗号資産の関連事業「マイニングエクスプレス」に投じられていた。ネット上のマイニング(採掘)によって暗号資産を増やすとする事業で、会員を集めれば紹介料やボーナスを得られる仕組みだったという。
グループは給付金の申請名義人となった学生らの口座番号や運転免許証の画像などを使い、同事業の専用口座を開設していた。一方、資産管理はグループで行い、元金などが名義人に返されることはなかった。
7人の中には、塚本容疑者と同期だった元国税職員の男(24)や大手証券会社元社員の男(27)らがおり、全員がマイニングエクスプレスに投資していたという。