高校、大学、社会人の先輩後輩の間に一体、何があったのか──。
元同僚のアマ力士に暴行してケガをさせたとして、鳥取県庁スポーツ課職員の佐々木耕大容疑者(29)が30日、傷害の疑いで県警捜査1課に逮捕された。
佐々木容疑者は昨年12月27日午前2時ごろ、鳥取市内の同僚の男性(26)宅で男性の顔面に電気コードを叩きつけ、上顎右側の側切歯が折れる全治3カ月のケガを負わせた。今年4月になって、男性が被害届を出していた。
2人は相撲の強豪校として知られる私立鳥取城北高出身。日大相撲部時代は文理学部4年と1年で、同じ釜の飯を食った仲間だった。
大学卒業後も同僚男性が佐々木容疑者の後を追うようにして県庁に就職するなど、切っても切れない関係だった。事件当時も、2人は鳥取城北高相撲部の外部指導員として勤務し、後輩たちの指導にあたっていた。
佐々木容疑者は鳥取城北高で横綱照ノ富士の1学年後輩にあたり、2010年にはともに全国高校総体の初優勝に貢献。翌11年には高校総体の個人で初優勝を飾り、高校横綱に輝いた。ただ、高校時代から精神面の弱さを指摘され、自身について「気が小さいところがある」と語ることもあった。県職員となった18年には、全日本実業団個人で準優勝を果たした。
「県庁の執務室に来るのは週に1日程度です。相撲の選手ですので、大会でいい成績を収めるために日々、トレーニングに励んでいます。国体などで好成績を上げ、鳥取県のスポーツ振興に寄与してもらい、地元の競技力を上げるのが、採用した狙いです。後進の指導にもあたってもらっています」(同県スポーツ課担当者)
被害届を出した翌月に退職
同僚は警察に被害届を出した翌月、「一身上の都合」で県に辞表を提出し、退職。辞職を決意したことから先輩の暴力被害を訴え出たのか。日常的に暴力行為があったかどうかは不明だ。
「警察から逮捕の一報を受けて初めて事情を把握したので、2人の間に何があったか、そういうそぶりもなかったのでまったく分かりません。(佐々木容疑者は)日頃から荒っぽいところがあるようにも見えず、温厚そうで普通の青年でした。コロナ禍で所属先での宴会などもなかったので、お酒が入るとどうなるかも分かりません。被害男性は職場ではマスク姿でしたので、顔が腫れているとか、歯の治療をしているとか、周囲の職員はまったく気づきませんでした」(前出の担当者)
体育会系で名門相撲部となれば、上下関係の厳しい世界。後輩力士は理不尽なパイセンの「かわいがり行為」に耐えかねたのか。