神奈川県真鶴町の松本一彦町長が選挙人名簿抄本を不正に複写して自身の選挙などに利用した問題で、同町議会は3日、松本氏に対する辞職勧告決議案を賛成多数で可決した。決議に法的な拘束力はない。松本氏は記者会見で「決議は重く受け止めるが従わない」と述べ、辞職を否定した。
決議案は、議長を除く町議9人のうち6人の賛成で可決された。決議案は、町が設置した第三者委員会の調査などで松本氏の不正行為が次々と明るみに出たと指摘。同委員会が公職選挙法違反(職権乱用による選挙の自由妨害)など五つの罪に抵触する可能性があると結論付けたことを踏まえ、「(松本氏が)誠実な対応をしているとは言えず、自浄能力はないものと判断せざるを得ない」と辞職を求めた。
また、議会は松本氏から名簿を受け取ったとされる町議2人に対する辞職勧告決議案も賛成多数で可決したが、2人も辞職しない意向を示した。
この問題を巡っては、松本氏は第三者委員会の要請に従い、町として自身を含む関係者を刑事告発する方針を示している。【本橋由紀】