「割のいいバイト」と客引きにのめり込む学生…氏名公表や退学のリスクも

条例に反する繁華街での客引き行為に学生が従事するのを防ごうと、京都市などが働きかけを強めている。従事者の中心は若い世代で、学生にとって客引きは比較的給料が高い「割のいいバイト」として認識され、のめり込んで退学するケースもある。学業への悪影響や、違反を続ければ氏名が公表されることがあるといった「リスク」の認識を広める必要がある。(坂戸奎太)
「客引きを続けると市のホームページに名前が記載されることもある。重大さをわかってほしい」
5月下旬、京都女子大(京都市東山区)の学生ラウンジで、市と協力して客引き従事防止を呼びかけるポスターやウェットティッシュの作成に関わってきた学生2人が、啓発活動の一環で同級生らに呼びかけた。この日は繁華街・木屋町近辺で、地元の立誠自治連合会や立誠防犯推進委員協議会のメンバーらとティッシュの配布も実施。4年の女子学生(22)は「客の飲食代に上乗せすることで客引きへのマージンが支払われるケースもあると聞く。金もうけのために通行人を利用する客引き行為に同世代が関わってほしくない」と力を込めた。
市は2015年に条例を定め、祇園・河原町や京都駅周辺などの飲食店が集まる一部区域で客引きを禁止している。不特定多数の中から相手を特定して客になるよう誘う行為を客引きとし、違反者には「文書指導」「勧告」「命令」「過料」の順で行政指導・処分を行う。過料を科した者については氏名を公表する場合もある。
市の調査では、条例制定直後の15年12月、祇園・河原町区域での客引き行為者数は前年比で半減したが、18年以降は再び増加している。行為者の中心はアルバイトの大学生だ。文書指導を受けた人のうち、19年は65%、20年は48%、21年は56%を大学生が占めた。客を呼び込んだ分だけ金額が上がる歩合制の給与体系が多く、客引きをするある男子大学生は「普通のバイトでは得られない金額をもらえるので、頑張る意味がある」と話した。
ただ、違反を繰り返して実際に氏名を公表された大学生もおり、就職活動などに悪影響を与えることが考えられる。深夜まで働いて昼夜が逆転し、学校を休みがちになったりやめたりする学生もいるという。
市は今後、京都女子大と制作したポスター300枚を府内各大学で掲示する予定という。市くらし安全推進課の担当者は「さらに発信力を高め、客引きは学生にとってリスクが多く不利益なバイトであるという認識を広めたい」と話した。