行動制限なき6月、熱中症ご注意 全国で搬送急増「梅雨でもリスク」

3年ぶりに新型コロナウイルス禍による行動制限のない初夏を迎え、熱中症患者の救急搬送が全国で大幅に増えている。大阪市の中高一貫校で3年ぶりに開かれた体育大会中に生徒ら30人が搬送されるなど、教育現場でも熱中症が相次ぐ。専門家は長期にわたる行動制限が招いた体力不足や、暑さへの不慣れが影響したと指摘。日差しが隠れる日の多い梅雨シーズンも注意が必要だと呼びかける。
「ご迷惑とご心配をおかけし申し訳ございません」
今月2日の体育大会中、生徒らが熱中症の症状を訴えて搬送された大阪女学院中学校・高校(大阪市中央区)の丹羽朗校長は、同日夜の会見で頭を下げた。
大会には中高生約1300人が参加。昼休憩後に行われた「応援合戦」の最中に生徒らが次々と吐き気などの症状を訴え、保護者1人を含む30人が救急搬送された。この日、大阪市の最高気温は6月下旬並みの29・2度。学校側は水分補給のほか、マスクを外すことを推奨していたが、観覧席で実際に外していた生徒は4割程度だった。
新型コロナの影響で中止が続き、開催は3年ぶり。4月から準備を進めてきたが、直前の体育の授業などでは「体を動かすことに慣れていない生徒や、ばて気味の生徒もいた」という。
翌3日には、兵庫県尼崎市立中でも体育大会の行進の練習中、マスクを着用していた生徒22人が症状を訴えて搬送された。熱中症に詳しい兵庫医科大の服部益治特別招聘教授は「2年以上続いたコロナ禍の影響で、熱中症になりやすい状態になっているのは間違いない」と明言する。
服部氏は「コロナによる生活様式の変化で、年齢に関係なく筋肉量の減少や、汗腺機能の低下が起きている」と指摘。体内の水分を保持する筋肉と汗を分泌する汗腺は、いずれも体温調整に重要な役割を果たしており、「いきなりコロナ前と同じことをすれば体がついていかない。今年は特に入念な対策をとるべきだ」と呼びかける。
総務省消防庁のまとめによると、5月1~29日の熱中症による救急搬送数は2294人(速報値)で、前年に比べ6割程度増加。搬送者数は大型連休以降、1週間あたり200~500人台で推移していたが、5月23~29日の1週間で1198人と急増している。
6日には関東甲信で梅雨入りし、今後は雨の日も増えるとみられるが、服部氏は「梅雨は湿度が高くなる。汗が出にくくなり、それほど気温が上がらなくても熱中症になるリスクがある」と指摘。梅雨明け後には一気に暑さが本格化するため、「軽い運動などで汗をかく機会を少しずつ増やし、体を慣らしておくべきだ」としている。