ロシアがウクライナに侵攻を開始して、はや3か月以上。西側メディアからはロシア軍の苦戦が伝えられるが、プーチン大統領はウクライナ東部のドンバス地方の制圧を目指し、攻勢を強めている。
一方、ゼレンスキー大統領は「領土を(ロシアの)侵攻前の状態にする」と徹底抗戦を表明。西側諸国から武器提供を受けたウクライナ軍の抵抗が続く。
しかし、戦場にプロパガンダ(情報戦、宣伝戦)はつきもの。現地の実情は、いかなるものなのか。
そこで『週刊大衆』は、ウクライナで特殊任務につく外国人部隊(ジョージア部隊)に、世界で初めて従軍した戦場カメラマン、ジャーナリストの横田徹氏を直撃。幾多の戦地を取材してきた百戦錬磨のジャーナリストが見た、ロシア軍陣地からわずか2キロの最前線の現実とは。
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横田氏がポーランドからウクライナの首都キーウに入ったのは、5月9日のことだったという。
「ガソリンの貯蔵タンクがロシア軍の攻撃でやられたらしく、キーウでの給油は1人1回あたり10リットルまでという制限がついていました。郊外に行けば行くほど、ガソリンスタンドの数も少なくなるため、スタンドを目指す車の行列が続くという状況でした。ただし、ガソリンを除けば、食料品や酒も手に入りますし、ライフラインも確保できていました。市民たちは、日常の生活に戻っていた印象です」(以下、すべて横田氏のコメント)
一方で、異様な光景も目にしたという。
「キーウで泊まったメディア用のホテルは、記者より外国人傭兵の数が目立ちました。宿泊客の半分は傭兵でしたね。朝食のビッフェ会場には、AK(自動小銃)を提げた傭兵の姿が。夜はバーで武装した傭兵同士が喧嘩するという、カオスのような世界でしたね。彼ら外国人の傭兵たちが有志の市民らに銃やナイフの扱い方などを教え、あるいは前線に出て、いろんな国の武器を手に自由に暴れ回るんです。これまで、いろんな戦場を見てきましたが、今回のような状況は経験したことがありません」
■ジョージア部隊には日本の志願兵も
キーウで横田氏は、外国人部隊の中でも“最強”の呼び声が高いジョージア部隊への従軍取材を願い出たという。彼らは、ゼレンスキー大統領がロシアの侵攻後に呼びかけた外国人組織とは別の部隊である。
「ジョージア部隊は、2008年にウクライナと同じくロシアの侵攻を受けたことから、14年に外国人部隊としてロシアと戦うために結成されました」
総員は約1000名。兵士の大半はジョージア人だという。
「司令官マムカ・マムラシュウィリ氏の首には、ロシア軍から懸賞金がかけられているため、その居場所は明らかにされていませんでした。ジョージア部隊は、ロシアに侵攻された恨みを晴らせれば、休みはいらないという集団です。そこにアメリカやイギリスの傭兵も加わり、元自衛官ら日本からも3名の志願兵が参加していました」
彼らの任務は敵の前線近くに進出し、ロシア軍陣地の様子を探る偵察だという。
「当然、危険が伴う任務なので、なかなか従軍の許可が下りなかったんです。そこで、キーウでジョージア部隊とパイプを持つコーディネーターを雇い、なんとかガソリンを確保して車で東へ向かいました。すると、ドニプロという街で、たまたま来ていた司令官のマムカ氏に接触でき、じかに最前線での従軍の許可が取れたんです。許可されたのは僕が世界初だったので、幸運でした」
従軍許可を取った後は、引き続きコーディネーターの車で、ウクライナ正規軍やジョージア部隊の前線基地のあるポクロウスケという街へ向かったという。
「これは意外に思われるかもしれませんが、道中は、のどかな田園風景が続いていました。きれいな花が咲き乱れ、小麦畑が延々と続く……。たとえるなら、北海道をさらに広大にした風景というべきでしょうか」
この続きは現在発売中の『週刊大衆』6月20日号で。