「夫が浮気」の作り話聞き離婚、5歳児餓死の母親…弁護側「マインドコントロールされた」

福岡県

篠栗
(ささぐり)町で2020年4月、5歳の三男を餓死させたとして、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の


(いかり)利恵被告(40)の裁判員裁判の初公判が6日、福岡地裁(冨田敦史裁判長)であった。碇被告は起訴事実を認め、弁護側は共犯として起訴された知人の赤堀恵美子被告(49)にマインドコントロールされたなどとして、情状酌量を訴えた。
検察側の冒頭陳述などによると、碇被告は子どもが同じ幼稚園に通っていた赤堀被告と知り合い、親しくなったが、「ママ友が(碇被告の)悪口を言っている」とのうそを信じて友人と不仲になり、「夫が浮気している」との作り話を聞いて離婚。赤堀被告から自立を求められるなどして親族とも疎遠になり、三男の

翔士郎
(しょうじろう)ちゃん、小学生の長男と次男を抱えて生活保護を受給するようになった。「親権を取るには、母子家庭らしく、ぜいたくをしてはいけない」などとも言われて赤堀被告が提供する食事だけで暮らし、給料も全額渡すなど生活全般を支配された。
翔士郎ちゃんの死亡時の体重は5歳児の平均の半分近い約10キロで、死亡前の食事は1日平均40キロ・カロリー程度。20年3月には10日間と1週間、食事を抜かれたこともあったという。検察側は「安易にうそを信じ、母親なのに、主体的な行動を放棄した」と批判した。
弁護側によると、赤堀被告は碇被告と知り合って間もなく、頻繁に碇被告の自宅を訪れるようになった。碇被告はSNSで1日1000回以上やりとりするほど赤堀被告を信頼し、お互いの子どもに同じ習い事をさせるなどしていた。一方で、離婚のトラブル解決名目などで総額1300万円以上を赤堀被告に渡し、困窮した。
弁護側は「ママ友、夫婦、親族関係を破壊されて孤立し、子どもたちの食事を得るために従わざるを得なかった」として、従属的な立場だったと強調。碇被告は「翔ちゃんごめんね。ママがちゃんとできなくて」などのメモを残していたという。
碇被告は被告人質問で、自分から声をかけ、赤堀被告がママ友グループに加わったと説明。赤堀被告は発言に芯が通っているうえ、話しやすいと感じ、信頼するようになったとした。赤堀被告のうそは「子どものケンカなど実際にあったことを出され、信じてしまった」と述べた。赤堀被告に口止めされ、周囲にも相談しなかったという。赤堀被告から困窮時に食料を提供されたことについては、「本当に感謝しかなかった」と振り返った。
起訴状では、碇被告は赤堀被告と共謀し、19年8月頃から、翔士郎ちゃんの食事を減らすなどした。留守番せずに外出した罰などとして、数日間食事を一切与えないこともあり、20年3月下旬頃には重度の低栄養状態になっていたのに放置し、同4月18日に自宅で餓死させたとしている。
赤堀被告は保護責任者遺棄致死罪と碇被告への計約200万円の詐欺、窃盗罪で起訴されており、別の裁判員裁判で審理される。弁護人によると、全面的に否認しているという。