給付金詐欺、のせられて100万円を不正受給した人たちは逮捕されるか

◆東京国税局職員まで加担

世間は欺かれることを欲す――オランダの人文学者エラスムスが『愚神礼賛』で説いたように、国は嬉々として欺かれたのか?

持続化給付金を巡る詐欺事件が次々と明るみに出てきている。5月30日、警視庁は9億6000万円を不正受給したとされる一家3人を詐欺容疑で逮捕し、逃亡中の元夫を指名手配。6月2日には2億円の不正受給疑惑でコンサル会社社長ら3人、さらには東京国税局職員を含む男女7人も逮捕された。元埼玉県警の佐々木成三氏が背景を解説する。

「素早い給付を優先して、審査がザルだったため、当初から不正受給が横行する可能性が指摘されていました。ここにきて摘発が続いているのは、元締の下に多くの紹介者が存在するため。彼らが学生や主婦を勧誘し、元締が申請に必要な確定申告書を用意して電話でネット申請の方法を指南する。

こうして申請者が100万円を受け取れば、紹介者が10万円、元締が20万~40万円を取る。問題は、『給付金は誰でももらえるもの』とそそのかされたが故に、申請者の多くに罪の意識がないこと。彼らに罪を認めさせ、紹介者を洗い出し、本丸を突き止める捜査に時間を要するわけです」

◆警察はすでに不正受給者を把握している

ただし、「すでに警察は多くの不正受給者に当たりをつけている」(全国紙社会部記者)という。

「過去に一度も確定申告していない学生や主婦が給付金申請用にわずかな課税所得を申告すれば、当然目立つ。加えて相次ぐ不正摘発で、2万人以上が給付金の返還を申し出ているため、彼らを端緒に元締を洗い出している」(同)

◆摘発されるのはごく一部

だが、それでも摘発されるのはごく一部。詐欺に精通する医カス氏(@iiiikasu)が話す。

「持続化給付金詐欺は季節モノ。数か月稼いだら仮想通貨に替えて海外に逃げるのが定石。通常は、メッセージ履歴の残らないテレグラムを使うから、捜査の手も伸びにくい」

エラスムスは「予防は治療に優る」とも説いたが……不正を予防できなかった政府の責任も小さくなさそうだ。

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◆今あるコロナ対策助成金は事前審査アリで不正を防止

持続化給付金は50%以上収入が減った個人事業主に最大100万円、中小企業に最大200万円を給付する制度だったが、現在は30%以上減で最大30万円、50%以上減で同50万円を給付する事業復活支援金の申請を受け付け中。税理士、行政書士などの“登録確認機関”による事前審査が必要で、通帳コピーの提出なども必須。給付金詐欺が横行しているため、申請のハードルを上げた格好だ。

取材・文/週刊SPA!編集部 写真/時事通信社
※週刊SPA!6月7日発売号より

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