5歳餓死 元夫「子供第一の母親だった」「見捨てるつもりない」

福岡県篠栗(ささぐり)町で2020年4月に碇翔士郎(いかりしょうじろう)ちゃん(当時5歳)が十分な食事を与えられず餓死した事件で、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の碇利恵被告(40)に対する裁判員裁判の第3回公判が8日、福岡地裁(冨田敦史裁判長)であった。元夫が出廷し、碇被告について「子供を第一にする母親だった」と証言。碇被告を精神的に支配したとされる「ママ友」の赤堀恵美子被告(49)=同罪などで起訴=には「いつも妻と一緒にいる友人で、妻に協力しているのだろう」と思っていたと明かした。
元夫の証言によると、18年夏までは家族5人でバーベキューをしたり、旅行に行ったりと「和気あいあいとした楽しい家族だった」。だが、次第に碇被告が旅行に行くのを断り、子供の運動会に元夫や親族が行くのを拒絶するようになった。これまでの公判で、碇被告がその頃、赤堀被告から「夫が浮気している」と、うそを吹き込まれていたことが分かっている。
18年12月に別居して離婚調停となるが、赤堀被告が碇被告と一緒に裁判所に来たり、元夫に「早く離婚してやりぃ」と直接言ってきたりしたこともあった。元夫は「離婚について思い当たる節は一切なかった」が、夫婦のすれ違いと諦めて19年5月に離婚。子供3人は碇被告が引き取ったが「自分より子供優先で動く母親で、任せてもいいかなと思った」という。
その後も何度か碇被告の家を訪問したが応答はなく、母の日にカーネーションと子供服を家の前に置いたが、事件発覚まで子供たちと会えなかった。翔士郎ちゃんの遺体と対面した時には「何でこんなことになってしまったのか、理解できなかった」と振り返った。
元夫は碇被告に「しっかり前を向き、今回のことを受け入れて償ってほしい」と語りかけ「(碇被告を)見捨てるつもりはない。できれば刑務所に入らずに罪を償ってほしい」と話した。現在は親族と子供たちの面倒を見つつ、碇被告と手紙のやり取りをしているという。【平塚雄太】