改正刑法成立 侮辱罪厳罰化「抑止力に」 木村花さん母ら評価

13日に成立した改正刑法には、インターネット上の

誹謗
(ひぼう)中傷対策として、侮辱罪を厳罰化する規定も盛り込まれた。国会審議の過程では、憲法が保障する「表現の自由」が脅かされるとして野党の一部や日本弁護士連合会などが反対したが、被害者らは「抑止力になる」「やっと適正になった」などと受け止めた。
「表現の自由」検証 付則に

侮辱罪は、公然と人を侮辱した行為に適用される。現在の法定刑は「拘留(30日未満)または科料(1万円未満)」で、刑法の中では最も軽い。2020年5月に女子プロレスラーの木村花さん(当時22歳)が自殺した問題では、花さんをSNSで中傷したとして男2人が略式命令を受けたが、科料9000円にとどまり、厳罰化を求める声が高まった。
しかし侮辱罪には、名誉

毀損
(きそん)罪とは異なり、「内容が真実だと証明されれば処罰されない」といった規定がない。また法定刑の引き上げに伴い、これまで現行犯逮捕に必要だった「住所不定」などの条件がなくなるため、野党の一部が「政治家へのヤジでも逮捕されかねない」と反発するなどした。
このため、法務省と警察庁は5月に「政府統一見解」を提示。公正な論評など正当な言論活動は処罰対象ではないと指摘した上で、ヤジを含む表現行為については、正当かどうか即座に判断するのは難しい性質のものだとして、「現行犯逮捕は法律上可能だが、実際上は想定されない」とした。
最終的に改正刑法には、施行から3年後に表現の自由が不当に制約されていないかを検証する条項が付則に明記された。
成立を受け、東京都内で記者会見した花さんの母、響子さん(45)は「これまでは抑止力にならず、理不尽だった。『やっと』という思いが強い。成立して終わりではなく、ここからが始まり。厳罰化をどう使っていくか、一人ひとりのモラルが問われている」と話した。
また、19年4月に起きた東京・池袋の暴走事故遺族の松永拓也さん(35)も会見に同席し、「厳罰化というより、やっと適正化されたと思っている」と強調。松永さんも事故後にネット上で中傷を受けており、「飲酒運転やあおり運転は厳罰化され、やってはいけないという社会通念ができた。厳罰化は抑止力になる」と語った。