忍び寄る「中国発」ハイテク“カンニング機器” 大学入試センターが不正防止策強化 ベルトのバックルにディスプレー、時計型通信機も

大学入試で相次ぐ不正行為を受け、大学入学共通テストを運営する大学入試センターはスマートフォンの禁止を厳格化するなど対策を強化する。だが、その隙をついた新たな不正が生まれる可能性も否めない。中国では映画のような〝カンニング大作戦〟が横行しており、専門家は「中国のノウハウが日本に輸入される恐れもある」と警鐘を鳴らす。
共通テストでは試験前にスマホの電源を切るよう呼びかけていたが、今後は試験前に机の上に出させて一斉に電源を切り、かばんにしまわせる対応に改める。
今年1月の共通テストで発覚した不正では、受験生が服の袖に隠したスマホにイヤホンを接続し、外部の協力者から答えを聞き取っていた。このため受験生向けの案内にイヤホンの使用禁止も明記する。電波遮断装置の導入は巨額の費用が課題となり見送られた。
こうした対策についてITジャーナリストの三上洋氏は「電源を切ったように見せて実際には切らなかったり、複数のスマホを所持したりといった隙はある。心理的な抑止を期待する苦肉の策ともいえる」と指摘する。
一橋大で1月、留学生対象の入試問題が外部に流出し、中国籍の男(22)らが逮捕された事件では、外部との通信に長さ約1・5センチの小型ワイヤレスイヤホンが使用された。中国ではハイテク機器を悪用したカンニングが横行している。
ロイター通信は、中国の全国一斉大学入試「高考(ガオカオ)」の不正に使われたとして中国当局が押収したカンニング機器について報じた。ベルトのバックル部分にディスプレーが取り付けられた受信機や、時計型通信機など〝秘密兵器〟が取り上げられた。
「中国のカンニングは組織的で、コンサル会社が関与し、試験当日に会場の隣のホテルの一室を借り通信拠点とするケースもある。運営側も金属探知機のほか、替え玉対策の顔認証や指紋認証機器も設置するが、毎年新しい手口が出現する」と三上氏。イタチごっこが実情のようだ。
日本もひとごとではない。三上氏は「カンニングのノウハウが中国から日本に輸入されるリスクがある。一橋大の事件はその好例で、より高度な不正を視野に入れた議論も必要かもしれない」と話した。