維新、固定票の獲得に苦慮 京都市政批判は通用するのか

「主婦の目線で、サラリーマンの目線で、政治を変えていきたい」。4日、京都市内で演説した日本維新の会新人で大阪ガス社員の楠井祐子氏(54)は、応援にかけつけた松井一郎代表(大阪市長)と、車上から通行人に呼びかけた。
楠井氏は京都市出身で同志社大卒。ただ社会人としての活動歴は大阪で、見方によっては「落下傘候補」だ。維新は一般人からの候補者像を前面に出して浸透を図る一方、地元行政をからめて選挙戦を演出している。
戦略の一つが、京都市の財政難を、大阪市の財政難を解決した維新への期待につなげる訴え。5月14日に京都入りした大阪府知事の吉村洋文副代表は「京都市はエレベーターに500万円もする漆塗りの扉を設置した。財政難と訴える市になぜ漆が必要なのか」と財政運営を攻撃し、「京都の政治には改革勢力が必要だ。自民、共産が強すぎる」と繰り返した。
「国政選挙と地方選は違うんだが…」と顔をしかめるのは他党の関係者だ。門川大作京都市長は4月の知事選で、維新と共産を除いた国会議員や地方議員と市内の演壇に立っており、関係者は「京都市政批判が参院選と結びついてしまう」と困惑。楠井氏自身も、演説でしばしば市の財政をやり玉に挙げる。
吉村氏からは「維新は京都ではまだ小さい。立憲民主党が戦いの相手だ」と立民を標的化する発言もあった。だが、自民の西田昌司府連会長は5月21日、岸田文雄首相を招いた京都市内の会合の席上で「こちらの油断を誘う戦略だ」と述べ、維新を意識していることをうかがわせた。
府内では維新の躍進が目立つ。昨年の衆院選京都1区は、共産の穀田恵二氏と肩を並べて維新の堀場幸子氏が比例で復活当選。4月の府議補選も維新新人が自民、立民、共産を含む候補者4人の中で唯一、五桁の得票で勝利した。自民強しとみられた北区で、維新陣営にすら驚きがあった。
参院選でも各党が警戒を強める中で、維新が苦慮するのは固定票の獲得だ。維新関係者によると、京都市議会のある会派に応援を要請したが「国政選挙では協力できない」と難色を示された。「自民、共産でなければ国政選挙で勝てないといわれた時代もある土地柄だ。古くからの地盤を崩すのは容易ではない」と苦心が続く。(平岡康彦)