不可解な政活費600万円 元維新市議、虚偽説明でポイント取得も

全国で不適当な支出が相次いで発覚している地方議員の政務活動費(政活費)で、兵庫県尼崎市議会の会派「日本維新の会」に割り当てられた600万円超の動きが問題になっている。会派の幹事長だった光本圭佑市議(42)は、購入したとする商品について納品書の偽造を認めたものの不正支出は否定しており、市民オンブズマンは20日、市に支出返還を求める住民監査請求を起こした。
繰り返す多額の入出金
4月20日、10人が所属する会派「日本維新の会」の口座に半期分の政活費600万円が振り込まれた。すると、同じ日に250万円が出金され、光本市議名義の口座に移されていた。出金は1回25万円で計10回。事態を把握した議会事務局が同会派の事務職員に理由を尋ねると、「幹事長の光本市議から指示を受けました」と答えた。
会派の政活費は多くの場合、所属議員の同意を得て引き出される。6月2日、議会事務局は会派経理責任者の西田兼治市議に問い合わせた。すると、答えは「存じ上げない。知らなかった」。
4日後に安浪順一団長によって、会派口座に250万円が戻されたものの、不可解な政活費の動きはこれだけにとどまらない。2021年にも2回、所属議員が知らないところで多額の金が動いていた。
返金まで最長9カ月
1回目は6月、75万円が引き出された。光本議員が議会事務局に提出した見積書によると、ある業者からパソコンを現金で購入するとの内容だった。だが、光本議員はこの契約を取りやめて、同8月に大手家電量販店で76万330円で購入したとする領収書と明細代わりの納品書を提出した。
業者に支払った現金は今年3月に返金されたとし、75万円が口座に戻された。この取引の領収書はない、という。
2回目の10月は、203万8265円。会派報を発行するためのポスティング代76万5765円と印刷費127万2500円で、これも現金払いだった。
だが、その後、別の業者に切り替えて計126万8465円で発注された。既に支払い済みだった203万8265円が返金されたのも今年3月だった。
他にも、今年5月に80万円超が同様に引き出され、後に同額が入金された。不可解な動きをたどった政活費は600万円超にのぼる。
納品書偽造とポイント7.6万円分
3期目で、13年に初当選してから会派の幹事長を務め、支出決定者だった光本市議。一連の経緯について釈明する場となった14日の市議会会派代表者会で、パソコン購入の納品書について、「なくしたレシートが見つかれば差し替えればよいと思った」と述べて、偽造を認めた。
会派の調査で、76万330円としていた購入代金も約13万円分の商品は確認できず、7万6033円分の大手家電量販店のポイントを個人で得ていたことも判明した。光本市議は報道陣に「水増しなどはない」と述べて、不正利用を否定したが、ポイントの付与については会派に「(ポイントが付かない)デビットカードで決済した」と虚偽の説明をしていた。
パソコンは、会派控室のロッカーなどに「保管していた」とするが、13日午後11時に別の議員が確認した時は見つからなかった。ただ、14日にはロッカーに置いてあり、政活費の入出金と同様に不可解さは拭えない。
市民オンブズマンは、パソコンや周辺機器は不正支出として、76万330円の返還を求めている。
議員辞めず「少しの時間を」
光本議員は14日、報道陣の取材に、250万円の出金について安浪団長に返金したとし、「尼崎市長選を巡り、会派が割れそうだったので、少数派が取りっぱぐれないように一時避難させた」と釈明。報道陣の取材に議員辞職を否定した。
これまでの実績として自身のホームページで「毎月10万円の政務活動費の返還」をうたっており、16日にはツイッターに「少しのお時間を頂戴したい。必ず自分の言葉で説明する」と投稿した。
国政政党の日本維新の会の松井一郎代表は15日、「法的な問題がなくても、尼崎市の使途基準を逸脱した行為があったならば、市民や有権者からみておかしいとなる」としたうえで、「政治家として潔く出処進退は自分で決めるべきだ」と述べた。
兵庫維新の会は17日、光本市議から出された離党届の受理を取り消し、除名処分とすることを発表した。【亀田早苗、中田敦子】