小規模な地震が1年以上頻発していた石川珠洲市で19日午後、震度6弱の地震が発生した。けが人が複数確認されたほか、建造物などが倒れる被害も起きた。能登地方で震度6以上の地震が起きたのは、2007年3月の能登半島地震以来で、地域住民は「また大きな地震が起こるのでは」と不安をあらわにしている。
「ズガーンという縦揺れの後、左右にゆさゆさと揺れた」。同市正院町小路に住む90歳代の母親宅を訪れていた50歳代の女性は、同日午後3時過ぎに起きた地震をこう振り返った。震度6強を観測し、1人が死亡、338人が重軽傷を負った能登半島地震を思い出させるような状況に、母親も動揺を隠せない様子だったという。
19日の地震で、珠洲市などでは6人がけがを負った(午後9時現在)。寺社や家屋にも被害が相次ぎ、鳥居や墓、家屋の塀が倒壊したほか、水漏れも相次いだ。珠洲市役所には、「ボイラーから水が噴き出た」などの電話が30件以上寄せられた。
同市高屋町で雑貨や酒類を販売する「井上商店」の女性(72)は「グラグラと大きく揺れ、思わず近くのテーブルにつかまった。これまでの揺れとは違い、長くて一番ひどかった」と声を震わせた。店内では、陳列していた酒瓶など10本以上が床に落ちて割れたという。
同市内にある羽黒神社の関係者は「近くの家で水道管が破裂したのか、水が噴き出し続けている」と話した。同市野々江町の県立飯田高校では、水道の蛇口から水が止まらなくなった。校舎内の窓ガラスが割れ、内壁にひびが確認されたため、同校は20日の休校を決めた。
同市営中央霊苑では、先祖の墓が無事か、霊園に車を飛ばして確かめに来た人も多かった。
市内の女性(53)もその一人で、「うちのお墓は幸い異常がなかった。石が倒れているところもあって気の毒だ」と話した。
県庁でも、登庁した職員らが情報収集に追われた。県は午後4時半に県災害対策本部会議を開き、馳知事が県幹部に「2007年の能登半島地震の教訓を生かし、県民の安全安心の確保にしっかりと対応してほしい」と指示した。県民に向けては「余震が想定されるので、引き続き警戒をお願いしたい」と呼びかけた。
この日は、日曜日ということもあり、県危機管理監室では、私服姿の県職員が市町や北陸電力などの関係機関と連絡を取り合った。同室は、19日夜の当直に当たる職員を通常より4人増やし、6人態勢で警戒する。
地震発生を受け、珠洲市は、市内全10か所の公民館を避難所として開放し、避難者らを受け入れた。
同市蛸島町の市立蛸島公民館には、近くに住む8人の女性が身を寄せた。
避難した女性(77)は「余震がいつまで続くか分からない中、一人暮らしの家で夜を過ごすことは、不安を通り越して怖くて避難した。毎日のように地震があったので、枕元にヘルメットとリュックサックを用意していた。地震後は、すぐに家を出た。こんなに怖いのは初めてです」と不安そうに話していた。