参院選 維新の牙城・大阪、18人が熾烈な争い

22日に公示を迎えた参院選で、18人が立候補した大阪選挙区(改選数4)。維新と自民、公明が現職を擁立して熾烈(しれつ)な争いを繰り広げる一方、近年は苦杯を喫している立民や共産なども虎視眈々(こしたんたん)と議席を狙う。
「大阪で血のにじむような改革を、維新が一丸となってやってきた」
22日朝、大阪市中央区の南海難波駅前。維新現職の高木佳保里(かおり)氏(49)が第一声でこう訴えると、隣にいた現職の浅田均氏(71)も「永田町で大阪と同じ改革を進めれば、経済成長は可能だ」と述べ、議席確保に意欲を示した。
平成24年の結党以来、本拠地・大阪で圧倒的な強さを誇る維新。28年の前々回選挙以降、候補者2人を擁立しているのは、自信の表れともいえる。松井一郎代表は「われわれは大阪で実績がある。他党からの攻勢も受けて立つ」と息巻く。
そんな維新の勢いを警戒するのが、自民現職の松川るい氏(51)だ。28年選挙はトップで初当選したが、この日の街頭演説では「大阪では自民に大変厳しい風が吹いている」と危機感をあらわにした。
昨秋の衆院選に際し、大阪府内では自民候補が出馬した15選挙区で維新に全敗した経緯がある。「参院選の結果は統一地方選に影響する」と自民府連幹部。松川氏の再度のトップ当選を目標に掲げ、地方議員らにはっぱをかけて組織の立て直しを図る。
3期目を目指す公明現職の石川博崇氏(48)も楽観視はしていない。第一声で「大阪の発展のため、選挙戦を走り抜く覚悟だ」と気勢を上げたものの、公明府本部関係者は「自民と維新の支持層を除く票がどう動くのか、読めない」と打ち明ける。
議席奪取へ対決姿勢鮮明
4人の現職がそろい踏みする中で、捲土重来(けんどちょうらい)を期すのが、共産元職の辰巳孝太郎氏(45)だ。維新のかつての看板政策「大阪都構想」などをめぐり、自民と維新が激しく対立したこれまでの参院選と比べ、今回は「反自民票が維新に行くとは考えにくく、反自民の受け皿という意味でも戦いやすい」(共産府委員会幹部)。
一方、立民新人の石田敏高氏(57)のもとには党最高顧問の菅直人元首相が「特命担当」として駆け付けた。大阪市長でもある松井氏が旗振り役のカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致を念頭に「維新は大阪で大きな声で大きな間違いを推し進めようとしている」と批判。維新との対決姿勢を鮮明にし、攻勢をかけている。
このほか国民民主の大谷由里子氏(59)とれいわの八幡愛氏(34)、いずれもN党の高山純三朗氏(49)、吉田宏之氏(46)、西脇京子氏(49)、丸吉孝文氏(37)らも立候補し、混戦の様相を呈している。