プライベート空間のネットカフェ個室、利便性が「立てこもりにも最適なのかも」

窓のない個室が、再び立てこもり事件の現場となった。埼玉県川越市脇田新町のインターネットカフェ「快活CLUB川越脇田新町店」で21日夜に起きた事件は、約5時間後に容疑者が逮捕された。完全な「プライベート空間」となるネットカフェの個室だが、昨年6月の事件に続いて使われたことで、改めて危険性を指摘する声が聞かれた。
逮捕監禁容疑で22日未明に現行犯逮捕された長久保浩二容疑者(42)は、同店アルバイトの女性が隣室の掃除をしていたところに押し入り、鍵をかけて立てこもって監禁した疑いがある。個室は2畳ほど。窓がなく、外から中の様子はわからない状態だった。県警はインターホンを通じて説得したが、長久保容疑者は「うるせえ」などと応じず、女性の安否確認に手間取った。
昨年6月にさいたま市大宮区のネットカフェで起きた事件は、容疑者逮捕と人質解放まで約32時間かかった。県警は慎重に対応せざるを得ず、ドアに穴を開けるなどして内部を探った。
こうした個室はコロナ禍でテレワークに使われることもある。今回の事件現場の店舗を利用したことのある川越市の男性(28)は「集中して作業する時に便利」と話す。だが、事件を知り、「利便性が立てこもりにも“最適”になるのかも」。ネットを楽しむという本来の目的以外の利用の増加が指摘され、近くで深夜営業をしているDVD店の男性従業員(39)は取材に、「ネットカフェは事件が起こりやすい業態なのだろうか」と話した。