伊勢湾台風から60年 「スーパー台風直撃」ならどうなる? 都市開発進み水害起きやすく、新幹線や高速道路などの交通インフラ寸断も

5000人以上の死者・行方不明者が出た伊勢湾台風の上陸から26日で60年になる。今月上陸した台風15号は千葉県などで大規模停電をもたらしたが、今後も伊勢湾台風並み、さらには最大風速65メートル以上の「スーパー台風」が上陸する恐れもある。専門家は、大規模な浸水被害や、新幹線や高速道路など交通インフラ寸断への対策が急務だと指摘する。
伊勢湾台風は1959年9月26日に紀伊半島に上陸、暴風や高潮で広範囲な浸水をもたらした。短時間で急速に発達したことも特徴だった。
気象予報会社ウェザーマップの気象予報士、饒村(にょうむら)曜氏は「伊勢湾の西側に台風が上陸し、湾の奥に風が吹き込んだことで高潮が発生し、人的被害が大きくなった。今回の台風15号も経路次第では高潮が起きていた可能性もあった」と指摘する。
伊勢湾台風から60年が経過し、日本列島は高度経済成長を経て、都市開発が進んだことで、より大きな被害をもたらす恐れがあるとみるのは災害史に詳しい立命館大学環太平洋文明研究センター教授の高橋学氏だ。
「高度成長期の地下水のくみ上げなどにより、東京の下町などでも1~2メートル沈下しており、水害が起きやすくなっている。当時、作られた防波堤も役に立たなくなっているところもある。地下街や地下鉄も普及したため、10センチ程度の浸水でも深刻な被害が出やすくなっている」
今月9日に首都圏を直撃した台風15号は上陸時の最大風速が40メートルを超える強い勢力で、最大瞬間風速は、千葉市で50メートル超、羽田空港や横浜市で40メートル超を観測した。千葉県では送電線の鉄塔が倒壊したほか、電柱もなぎ倒され、長期間の停電をもたらした。
高橋氏は千葉周辺について「表層5~10メートルは、富士山や箱根から飛んできた火山灰で作られる関東ローム層で、『ぬかにくぎ』のような状態で電柱が立っている。本来ならば送電線を地下埋設してしかるべき場所だ」と分析する。
もちろん危険なのは千葉だけではない。「東海道新幹線や東名高速道路も高潮の被害を受けやすい場所にある。現在の流通網は商品の在庫をできるだけ少なくして必要なときに運ぶシステムが行き渡っているだけに、交通インフラが寸断された場合の影響も大きくなる」と高橋氏。
日本列島周辺では海面水温が高くなったことで、台風が強い勢力のまま上陸する傾向が強まっているとの見方もある。「スーパー台風」が本州に上陸してもおかしくない状況だ。
高橋氏は「今後も大都市を直撃する台風が起きる可能性が高い。警察や消防、自治体などの指揮命令系統を一本化し、災害のないまちづくりを進める災害庁の設立も必要なのではないか」と強調した。