福岡県大川市立川口小で2017年1月、4年生の晴翔(はると)さん(当時10歳)が授業中に倒れたゴールポストの下敷きになって死亡した事故を巡り、両親が市に約4320万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、福岡地裁久留米支部は24日、市に約3660万円の支払いを命じた。立川毅裁判長は「(学校側は)事故が起きると予見できたのに、ゴールポストを点検し固定する注意義務を怠った過失がある」と述べた。
県警は当時の校長ら教員6人を業務上過失致死容疑で書類送検したが、福岡地検が不起訴処分とした。
両親側の弁護士によると、裁判ではゴールポストの固定が不十分で16年11月以降は安全点検も怠るなど、設置管理に瑕疵(かし)があったことは市側も認めた。そのため、市の責任の範囲や賠償額などが争点となった。
両親側は、不起訴処分となった6人のうち校長と教員4人(安全点検担当、ゴールポスト点検担当、授業担当2人)には、民事上の安全配慮義務違反はあったと主張。過去にも全国で同様の事故があり、文部科学省が事故防止策を講じるよう繰り返し通知していたことから「基準に従って固定されていないゴールポストに児童がぶら下がれば、転倒して死亡するという重大事故が発生すると予見可能だった」などと訴えた。
加えて、事故後に市が設置した安全調査委も、川口小に当時あったゴールポスト4台のうち3台は土台がくいで固定されていたのに、事故が起きた1台のみしていなかった理由などを調べていないと指摘。「事故原因の究明を怠り、調査報告義務に反する」とした。
これに対し市側は、川口小ではゴールポストの転倒や児童がぶら下がるなどの報告は無く、安全点検表のゴールポスト欄には16年10月までは点検していた記述があると主張。同月の点検では教員がゴールポストを揺すっても動かなかったなどとして「(教員らが)事故の発生を予見することは困難だった」と反論した。安全調査委もすべき調査はしているなどと訴えた。
両親の弁護士は、晴翔さんの氏名は名前のみの公表とするよう報道機関に要望している。【高芝菜穂子、降旗英峰】