鹿児島市で2021年2月、鹿児島大生の宮崎大喜(たいき)さん(当時20歳)が飲酒運転の車にはねられ死亡した事件で、道路交通法違反(ひき逃げ)に問われた無職、八木優斗被告(27)=鹿児島市=に対し、鹿児島地裁は29日、懲役10月(求刑・懲役1年)を言い渡した。鹿児島地検は同罪について当初不起訴としたが、宮崎さんの両親の申し立てを受けた検察審査会が「起訴相当」と議決したのを受け、一転して起訴していた。
八木被告は飲酒運転で軽乗用車を運転し、同市大竜町の交差点に赤信号を無視して時速93キロで進入。横断歩道を渡る宮崎さんをはねて死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)などで同地裁に懲役9年の判決を言い渡され、確定している。今回の判決が確定すれば、合計で「懲役9年10月」となる。
中田幹人(まさと)裁判官は判決で、八木被告は宮崎さんをはねた後、約270メートル先で乗用車に追突事故を起こして止まったが「119番せず、約30分にわたり車内にとどまっていた」と指摘。公判で被告が「ブレーキを踏んだが、利いている感覚はなかった」と説明したことについては「車の制動装置機能に異常はなく、整合しない」と退けた。
その上で、被告は車内でフロントガラスを殴る蹴るなど暴れていたとして「救護措置に向けた意識が認められない」と批判。一方、反省の態度を示しており、家族の監督が期待できる点などを量刑で考慮した。
判決後、宮崎さんの両親は「懲役10月という結論は軽すぎると思う。人が死亡したひき逃げの事案でも、この程度の罪なのかと愕然(がくぜん)とした。これでは同じような行為の抑止に全くならないと思う」とのコメントを出した。【宗岡敬介】