「一番の課題は体質の古さ。マッチョな体質を変えたい」
元理事長らによる不祥事に揺れた日本大学で初の女性となる理事長に1日、日大芸術学部出身の直木賞作家、林真理子氏(68)が就任した。新理事長に内定後の先月、報道陣に日大改革への意気込みを語り話題をさらった。就任早々から積極的な女性登用を打ち出し強い決意をアピールしたが、実現への道筋は見通せない部分も多い。
新たな理事会の女性登用で改革機運が高まる。日大に約40年勤めた元職員の男性は「女性理事の数に驚いた。女性の目が入ることで大学のチェックが進むと期待している」と話し、日大のある女性教員は「林さんの言うように、日大は上意下達の男社会といっても過言ではなかった。新体制では、女性の教職員の声を積極的に経営に反映させてほしい」と期待を寄せる。
一方、教育現場のトップとなる新学長には2008年から3年間、総長を務めた酒井健夫氏(78)が就任した。林氏と共に記者会見に臨んだ酒井氏は「社会の皆様に信頼していただけるよう、理事長と車の両輪になる」と改革への意欲を示したが、ある男性職員は「学内に旧体制のメンバーが居残っている。結局は今までと何も変わらない、変われないのではないか」と不安を漏らす。別の日大関係者も「いずれ、林体制が古い勢力にのみ込まれてしまうのでは」と懸念する。
「文壇の大御所」である林氏の情報発信力に期待する声は大きい。だが、日大は学生数だけで7万人を超え、付属小中高なども擁する国内最大規模の学校法人を引っ張らなければならない。「しがらみがないのは(学内に)基盤がないということ」と認める林氏は大学運営の経験がない自身を支える有識者らのチームを置くとし「経営手腕にたけた人材を採用する。本部にも優れた事務方がいるので心配していない」と話す。
ただ、ある文科省幹部は「理事会にも高名な人は入っているが、林理事長の片腕になれる大学経営にたけた人は乏しい。旧体制のメンバーがやりやすいような人選だ」と厳しい評価だ。
「林新理事長に残された時間は意外と少ない」と指摘するのは、大学ガバナンスに詳しい八田進二・青山学院大名誉教授だ。「これだけ大きな組織を、経営経験のない林氏が導いていくのは現実的に厳しい。短い期間で徹底的な改革を進めなければ、また古い体制に戻りかねない。卒業生との良好な関係も維持する必要があり、難しいかじ取りが求められる」と話した。【遠藤大志、深津誠】