【独自】災害時の不明者氏名、40道府県「公表する」…熱海土石流で捜索絞り込みに効果

災害発生時に行方不明者や連絡がつかない人の氏名について、40道府県が「公表する」とのルールを作っていることが読売新聞の調査で分かった。27人が死亡、1人が行方不明となった昨年7月3日の静岡県熱海市の土石流災害では、県が公表に踏み切り、要救助者や捜索エリアの絞り込みにつながった。これを教訓に、早期公表を原則とする動きが広がっている。
大規模災害の発生直後には、無事に避難しているものの連絡がつかず、「不明者」扱いとなる人もいる。氏名が公表されれば、情報が集まって安否確認が進み、実際に救助を必要とする人を集中的に捜索できるようになる。しかし、公表・非公表の判断は都道府県に委ねられており、過去の災害では自治体ごとに対応が分かれる混乱も生じてきた。
調査で「公表する」と答えた40道府県のうち、2019年の台風19号で甚大な被害を受けた福島など21道県は「家族の同意」を条件としつつ、迅速な捜索・救助を進めるため、「緊急時には同意不要で公表できる」と定めていた。福岡など19道府県は、この1年ほどの間に指針を策定しており、熱海土石流を受け、氏名公表の必要性が改めて認識されたことがうかがえる。
東京都は現時点では非公表だが、「原則公表に向けた指針を作成中」。埼玉、京都など6府県は明確な方針を決めていなかった。
一方、死者の氏名については、33道県が公表すると回答したが、うち27道県は「遺族の同意」が条件。同意なしでも公表するのは神奈川、兵庫など6県にとどまった。非公表の自治体の大半は「プライバシーの尊重」を理由に挙げた。