深まる謎 日鉄シアン検出、流出源は複数か 千葉・君津

6月に日本製鉄東日本製鉄所君津地区(千葉県君津市)から「脱硫液」が流出後、工場周辺の水から毒性の強いシアンの検出が相次ぎ、関係者の間に戸惑いが広がっている。コークス炉から出たガスの洗浄に用いる脱硫液には本来、シアンは含まれていないはずだからだ。県や日鉄は流出源が複数あるとみて原因を調べているが、解明には至っていない。
シアンは人体に悪影響のある物質で、国の環境基準や県条例の排水基準では、検出されない状態が求められている。ところが県や日鉄が脱硫液の流出問題を受けて実施した水質調査では、これまでに工場周辺と排水口の4カ所の水から1リットルあたり0・2~0・6ミリグラムが検出された。約1100万平方メートル(東京ドーム220個分)の広大な工場敷地を取り囲むように広範囲で検出が続いており、日鉄は原因の特定を進めている。
このうち、原因が推定できているのは、東京湾に面した敷地北側の排水口の1カ所だけだ。高炉の排ガスからシアンなどの有害物質を除去する施設が近くにあり、処理過程でトラブルが起きているという。日鉄は施設を停止する対応を取っている。
一方、他の3カ所については理由が分からないままだ。いずれも脱硫液の流出経路にあたる場所だが、脱硫液には本来、シアンは含まれていない。このため日鉄は、脱硫液が流出する過程でシアンが混入した可能性もあるとみている。【石川勝義】