ロシアによるウクライナ侵攻について、ウクライナ避難民の支援団体や在日ロシア人から学ぶセミナーが松山市内であった。「ロシアとウクライナにそれぞれ離れて暮らす家族や親戚は多い。“兄弟国”同士での争いは、まさに悲劇」。旧ソ連時代からの歴史的な背景も伝えられた。【鶴見泰寿】
NPO法人「松山さかのうえ日本語学校」(松山市)が主催し、約45人が参加した。ウクライナ避難民の受け入れを支援するNPO法人「ビューティフル ワールド」(長崎県壱岐市)と、在日ロシア人女性のアンナさん(仮名)が招かれ、オンラインで講演した。
ビューティフル ワールド理事長でウクライナ出身の小野ヤーナさん(39)の夫、一馬さん(36)は1991年のソ連崩壊に伴い、それぞれ独立したロシア、ウクライナ、ベラルーシの関係を“兄弟国”と表現。ロシアの侵攻前の3国の関係について「妻の親戚も各国にいるなど、国境というより、(行き来のしやすい)県境で分かれているイメージだった。その仲が良い3国が引き裂かれてしまった」と残念な表情を浮かべた。
日本で約20年生活するロシア出身のアンナさんは、プーチン大統領が掲げる「特別軍事作戦」について「ウクライナで自由を奪われている親ロシア派の人々を救うための作戦」と信じているロシア国民が少なくないと指摘。ただ「国民の8割が作戦を支持しているという報道は信用できない。(ロシア国営テレビの報道は)言論の自由はなく、プロパガンダのようだ」と主張した。ロシアの報道を巡り、家族や親戚の間での意見の対立も深刻になっているという。「ウクライナの親戚が『侵略されている』と伝えてもロシアの家族が受け付けない例もある」と紹介した。
報道に接する際には「批判的思考を持つ」ことの重要さを繰り返し訴えたアンナさん。ウクライナ侵攻までは「ロシアの政治に関心がなく、大統領選で投票することはなかった。後悔している」と明かし、「投票には行くべきだ」と語った。
セミナー後、松山市の自営業、佐川東輝枝さん(58)は「ロシアでは愛国的な教育が盛んになっていると聞く。戦前の日本が思い出され、教育がいかに大事かを考えさせられた」。松山市の浪人生、有馬巧祐さん(19)は「言論の自由がない状態が想像できない。より良い国にするためにできる行動が投票なのだと改めて知らされた」と語った。