尼崎市長選への不出馬表明、USB問題との関係否定した市長…市民の信頼損ね「忸怩たる思い」

任期満了に伴う兵庫県の尼崎市長選(11月20日投開票)に立候補しないことを7日に表明した稲村和美市長(49)。市役所で開いた緊急の記者会見で、USBメモリーの一時紛失問題との関係は否定した。昨年末頃には関係者に今期限りで退任する意向を伝えていたことや、後継候補として前市教育長が近く立候補表明することも明らかにした。(礒永博、加藤あかね)
稲村市長は記者会見で「3期12年を区切りにしたいと考えていた」と説明。財政再建に一定の道筋をつけたうえで、中学校給食の導入や医療費助成の拡充など必要な事業に着手できたと振り返った。
USBメモリー紛失問題を巡っては、「街のイメージ向上に努め、手応えが出てきたところで、市民の信頼を損ねるようなことになってしまい、

忸怩
(じくじ)たる思い」と述べた。半年をめどに検証している市の第三者委員会について「自分の任期中に一定の取り組みを終了させたい」とし、「最後の一日までしっかり対応していきたい」と強調した。
今期限りの退任を決めた時期については「年末頃には近しい人に私の意思を伝え始めていた。もう1期がんばるべきだという声はあった。迷いはなかった」と説明。その上で、昨年3月まで尼崎市教育長だった文部科学省教育DX推進室室長補佐の松本真氏(42)に教育長退任の際、市長選への出馬を初めて打診したことを打ち明け、「バトンを渡せる人が決意をしないと無責任に(自分の進退を)決められなかった。今月中に(出馬)会見を開くと思う」と語った。

松本氏はこの日、読売新聞の取材に応じ、「出馬の準備を進めている。退職後にしかるべきタイミングでしっかりご説明したい」と話し、市長選に出馬する意向を示した。