さいたま市大宮区のインターネットカフェ立てこもり事件で、逮捕監禁致傷罪などに問われた林一貴被告(41)の裁判員裁判が7日、さいたま地裁であり、人質として被害に遭った女性従業員の証人尋問が行われた。事件当時、女性は捜査員に「大丈夫」などとインターホンで伝えていたが、これらは「林被告の指示だった」と証言し、「下手なことを言うと殺されると思った」と語った。
事件は昨年6月17日午後2時25分頃に発生。起訴状などでは、林被告は個室に呼びつけた女性にカッターナイフを見せ、「おとなしくしていたら殺さない」と脅して監禁し、首にけがを負わせたなどとしている。女性は約32時間後の同18日夜に保護された。
検察側の冒頭陳述によると、捜査員はこの間、インターホン越しに60回にわたって林被告の説得を試みた。女性と直接話した際には「大丈夫です」「私が説得します」などと言っていた。
7日の証人尋問で女性は「すぐにでも(外に)出たかった。許すことはできない」と訴えた。心的外傷後ストレス障害(PTSD)で今も治療を受けており、「他人が怖く、外出が難しい。人も信用できなくなった」と苦しみも明かした。女性が当時の恐怖を思い出して泣き出し、佐々木一夫裁判長が一時休廷とする場面もあった。