「埼玉も襲撃の候補にしていた」奈良の次の遊説先…山上容疑者「とにかく殺そうと」

安倍晋三・元首相(67)が奈良市内で8日、街頭演説中に銃撃されて死亡した事件で、逮捕された無職山上徹也容疑者(41)が「(奈良市の次の遊説先だった)埼玉県も襲撃の候補にしていた」と供述していることが、捜査関係者への取材でわかった。安倍氏は8日夜、さいたま市で応援演説する予定だった。奈良県警は、遊説機会の多い参院選(10日投開票)の選挙期間中に襲撃しようとしていたとみている。
捜査関係者によると、山上容疑者は事件前日の7日、新幹線で岡山市に向かったと供述。手製の銃を持って、安倍氏が登壇する自民党候補者の個人演説会場を訪れたが、近づくことができなかったとも述べている。当日はホールに約2300人が集まっており、来場者に入り口で記帳させていたことが影響したとみられる。
7日夕には奈良市で急きょ、安倍氏の街頭演説が行われることが決まった。山上容疑者はこの日程について「インターネットで知った」と供述している。
山上容疑者は8日午前10時前、自宅最寄りの近鉄新大宮駅(奈良市)で改札を通り、数分後に大和西大寺駅(同)に着いていたことが確認されている。現場付近を約1時間半下見した後、安倍氏が街頭演説を始めた約2分後の午前11時半頃に銃撃し、現行犯逮捕された。
さいたま市では、8日午後6時半からJR大宮駅前で自民党候補の街頭演説が予定されていた。陣営関係者によると、安倍氏の来援は5日夜からSNSなどで告知を始めており、選挙カーの上で演説予定だったという。山上容疑者は、奈良で襲撃を決行できなかった場合、新幹線でさいたま市まで向かおうとしていた可能性がある。
山上容疑者は調べに対し、「とにかく殺そうと思って、(安倍氏の)遊説先をつけ回していた」と供述している。手製の銃は今年春に完成させたとも述べており、奈良県警は今回の参院選で複数の会場を候補に挙げ、機会をうかがっていたとみている。