東電13兆円判決 現実離れした賠償額に驚く

東京電力の旧経営陣に対し、13兆円を超える巨額の賠償が命じられた。払えるはずもない金額を個人に負わせる判決は、裁判の意義にも疑問を抱かせかねない。
福島第一原子力発電所の事故で東電に損害を与えたとして、個人株主48人が旧経営陣に対し、22兆円を東電に支払うよう求めた株主代表訴訟で、東京地裁は計13兆3210億円の賠償を4人に命じる判決を言い渡した。
判決は、旧経営陣が「巨大津波の襲来を予見できたのに、事故を防ぐ対策を指示しなかった」と指摘した。支払額については、被災者への損害賠償や廃炉、除染の費用などから算出したという。
株主代表訴訟は、会社に損害を与えた取締役らに対し、株主が会社に代わって損害賠償を求める制度だ。判決は、電力会社には原発の重大事故を防ぐ義務があり、その責任は最終的に経営陣が負うべきだと考えたのだろう。
ただ、理解に苦しむ点もある。最高裁は先月、避難住民らが国を訴えた4件の民事裁判で、津波の規模が想定より大きかったため、事故は防げなかったとする統一判断を示している。
今回の地裁判決とは食い違う考え方だ。地裁が最高裁と正反対の判断を示すということを、どう理解したら良いのか。
しかも、被告のうち3人は業務上過失致死傷罪で強制起訴された刑事裁判の1審で、事故は予見できなかったとして無罪になっている。刑事と民事は異なるとはいえ、この違いも分かりにくい。
天文学的な賠償額に驚いた人は多いだろう。日本の防衛予算の2倍以上にあたる金額を4人で負担することは現実的に不可能だ。
原発は国策で推進してきた。東電の責任は重いとはいえ、国の責任を棚上げし、4人の個人に全てを負わせることが妥当なのか。
株主代表訴訟では、過去にも巨額の賠償が命じられている。
オリンパスの損失隠し事件では元会長らが594億円の賠償命令を受けた。ダスキンでは、食品の不祥事で元役員らが53億円の支払いを命じられ、自己破産した。
しかし、大半は旧経営陣が不正に関与したり、事件を

隠蔽
(いんぺい)したりしたケースで、今回のように自然災害への備えの是非が問われた裁判は極めて異例だ。
こうした裁判が相次げば、誰も企業の役員になりたがらないとの声も聞かれる。他の電力会社までが


(い)


(しゅく)し、原発の稼働に及び腰になることも懸念される。