提訴から12年、カルテのないC型肝炎訴訟で判決 救済わずか1割

出産時に血液製剤「フィブリノゲン」を投与されてC型肝炎を患ったのに、カルテが残っていないために薬害肝炎救済法の給付金を受けられないのは不当だとして、患者ら73人が国に給付金の支払いを求めた訴訟で東京地裁(藤沢裕介裁判長)は19日、全員の請求を棄却する判決を言い渡した。提訴から12年を経てようやく判決に至ったが、救済されたのは訴訟の過程で和解が成立した34人で、元々の原告270人の約1割にとどまった。
患者側弁護団によると、和解した34人は、出産時の担当医の法廷証言などから投与された可能性が高いと判断され、国が給付金計約8億円を支払うことで合意した。一方で163人は訴訟途中で敗訴する可能性が高いと判断して訴えを取り下げ、判決時の原告は73人となった。
C型肝炎を巡っては、1964~94年に出産時の止血剤として使われたフィブリノゲンにウイルスが混入し、多くの被害者を生んだ。2008年に議員立法で救済法が成立し、被害者は国を相手に裁判を起こして和解などで救済対象と認められれば1200万~4000万円が支給される仕組みが整えられた。
支給対象となるには患者側がフィブリノゲンの投与を証明する必要があるが、医師法で義務付けられたカルテ保管期間は5年で、カルテが見つからない人が相次いだ。今回の原告は患者本人と遺族で、10~16年に相次いで提訴した。
今回の判決では、カルテや担当医の法廷証言以外の証拠で投与の事実を認定できるかが焦点となった。藤沢裁判長は「救済法に特別の規定はなく、証明の程度を軽減することはできない」と述べ、医療関係者の陳述書や医学文献などを総合的に検討しても認定できないと判断した。
東京以外でも全国7地裁に計約500人が同種訴訟を起こし、既に判決が出たケースもあるが、和解成立に至ったのは全体でも1割程度にとどまるという。原告弁護団は、こうした実情を踏まえ、出産した医療機関にフィブリノゲンの納入実績がある▽母子手帳に出産時出血多量と記載されている――などを満たせば、投与の事実を「推定」して半額を支給するよう救済法の改正を求めている。
19日の判決後、東京都内で記者会見した患者側の山口広弁護団長は「残念な結果だが、法律が不十分であることを物語っている」と指摘した。【遠山和宏】