新型コロナウイルスの「第7波」が急拡大する中、各地で医療逼迫(ひっぱく)が始まっている。感染力が強いオミクロン株の新たな派生型「BA・5」に置き換わりが進み、感染者数は「第6波」をしのぐペースで増加。病床数が不足するばかりか、医療従事者の感染によって人手不足に陥っている病院もある。このまま拡大が進めば、コロナ以外の医療にも深刻な影響が出る恐れもあり、早急な対策が求められている。
「第6波を超える感染者の急増があり、現場が回らなくなりつつある」
大阪府病院協会会長で、北摂総合病院(大阪府高槻市)の木野昌也理事長は危機感を募らせる。コロナ患者を受け入れる同病院では、軽症・中等症病床が既に8割近くが埋まっており、コロナ以外の一般患者の新たな入院が受け入れづらくなっている状況にあるという。
大阪府では21日に過去最多の新規感染者2万2047人を確認。病床使用率は2週間前(16・8%)から大幅に増え、41・4%となった。府の独自基準「大阪モデル」で最も警戒の高い「非常事態(赤)」の指標である50%には達していないものの、吉村洋文知事は「医療現場はもう逼迫している」との認識を示した。
より深刻な状況にある地域もある。21日の病床使用率は滋賀県では2週間前の27・1%から58・1%に、和歌山県では21・1%から62・9%に急上昇した。70%を超えた沖縄県では、玉城デニー知事が独自の「医療非常事態宣言」を出し対策を呼びかけた。
滋賀県もピーク時に備え、病床数を上積みするよう医療機関に要請しており、担当者は「病床使用率の上昇ペースは第6波より速い。このまま毎日新規感染者が増えていけば厳しい状況になる」と話す。
さらに各地の病院で相次ぐクラスターが、医療逼迫に拍車をかけている。感染したり濃厚接触者となったりして出勤できない医療従事者が増えており、和歌山県の担当者は「病床が空いていても、医療現場の人手不足で入院できない病院もある。現場は数字以上に逼迫していて、すでに手いっぱいの状態だ」と嘆く。
感染の波が到来するたびに繰り返される医療逼迫に、大阪府医師会の茂松茂人会長は「感染が落ち着いているときに国全体でもっと感染症を診療できる態勢への投資をすべきだった」と指摘。その上で「今は地道に一人一人に感染対策を呼び掛けていくしかない。特に重症化リスクの高い高齢者施設への対応を早急に強化する必要がある」と話している。