新型コロナウイルスの感染者は21日、全国で新たに18万6246人が確認され、1日当たりの新規感染者数としては20日を超えて過去最多となった。東京都で初めて3万人、福岡県でも初めて1万人を超えるなど全国の35都府県で過去最多を更新した。九州・山口でも福岡のほか、山口、長崎、熊本、大分、宮崎、沖縄の各県で過去最多となった。感染の急拡大に伴って病床使用率が上昇し、医療提供体制が厳しくなるとされる目安を超えた県もある。沖縄県では感染拡大に伴う医療スタッフの欠勤も増加し、救急外来に影響が出ている。
福岡市中央区の繁華街にある無料のPCR検査センター前には21日、朝から長い列ができた。市内の30代会社員は「今後も感染が拡大すると思うと、無症状のうちに確認した方が良いと思った」と話す。10代女性は「これまではいろいろなイベントが開催されていたが、これからは難しくなるかもしれない」と声を落とした。過去最大規模となっている「第7波」の感染拡大に市民の警戒感も強い。
病床使用率も各地で急上昇している。熊本県ではコロナ用に最大限確保した病床の使用率が1週間で約10ポイント上昇し、20日時点で54・9%に達している。県が医療体制逼迫(ひっぱく)の目安とする50%を既に超えた。県人口の約4割が集中する熊本市では72・8%となり、市医療政策課の担当者は「病院も保健所も対応に追われている」と話す。
福岡県も20日時点の病床使用率が「コロナ特別警報」の目安となる50%を超えた。県は医師会と協力し、コロナ病床の確保や、回復患者の積極的な受け入れを医療機関に依頼するなど対応に追われている。県がん感染症疾病対策課の牟田口徹課長は「コロナはおおむね10日経過すれば症状が治まる。入院患者が速やかに退院していく状況になれば、病床の逼迫は遅らせられる」と話す。
人口当たりで全国最悪の感染状況が続く沖縄県はさらに深刻だ。病床使用率は21日時点で71・5%で、コロナ以外の一般病床は97・3%に達する。本人や家族の感染などに伴う医療従事者の欠勤も相次ぎ、県のまとめでは1097人(21日時点)に上った。
重点医療機関の県立中部病院(うるま市)は入院が不要な患者の1次救急外来と、一般外来の停止を決めた。同院の高山義浩医師は「医師が10人以上休む異常事態が生じている。住民にとって最後のとりでである救急外来の制限は最小限にとどめるべきだが、病院の努力だけでは解決しない」と指摘。「軽症者や検査目的の時間外受診が今も多い。時間外にコロナ対応をしてくれる診療所の拡大など関係機関の協力が必要だ」と訴える。
こうした状況を受け、玉城(たまき)デニー知事は21日、「医療非常事態宣言」を出し、入院が不要な軽症の場合や検査目的での救急病院の受診を控えるよう求めた。救急病院への患者の集中を避けるため、8月末までの日曜、祝日に発熱外来診療を実施する医療機関には1日最大40万円の協力金を交付する。
また、感染防止対策の強化を図るため、アルコールを提供するイベントの延期や「4人以下2時間以内」の会食などを求める緊急対策も発表した。県内の医療界は厳しい行動制限を求めるが、コロナ禍からの回復途上にある経済界は制限には否定的だ。玉城知事は「互いが信頼に基づいて社会を構成することを一番に考えるべきだ。みんなで同じ理念を持って、この状況を乗り越えていきたい」と協力を呼びかけ、観光客や帰省客らには来県前にPCR検査などで陰性を確認することなどを求めた。【城島勇人、中里顕、竹内望、比嘉洋】