「クズは変わらない」自嘲気味に語っていた女性刺殺少年、幼さ残る顔で「やり直したい気持ちある」

福岡市中央区の大型商業施設で2020年8月、客の女性(当時21歳)が刺殺された事件で、殺人罪などに問われた少年(17)の裁判員裁判の判決が25日、福岡地裁(武林仁美裁判長)で言い渡される。15日の結審後、福岡拘置所で複数回にわたり記者の面会に応じた少年は、判決前の心境を淡々と語った。(村上喬亮)
「どんな結果でも受け入れる。変わるのは難しいとは思うが、やり直したい気持ちはある」。短髪でメガネを掛けた少年は、幼さが残る顔で打ち明けた。7日の被告人質問では、「(少年院での学びは)特になかった。人間のクズはクズのまま変わることはない」と自嘲気味に更生の可能性を否定していた。
普段は読書をして過ごし、最近読んでいるのは、15歳の少年が主人公の「海辺のカフカ」(村上春樹著)。故郷の港町の話題では「新鮮なイカを食べたい。そういう所だったので」と表情を緩め、夕日の美しさも口にした。
記者が少年の父親を取材した際、父親も夕日の話をしたことを伝えると、「いつ会いましたか」と面会中で唯一、質問を返した。
自身や事件については、「暴力を振るう父親とかの影響は色濃くあると思う」と振り返った。「他の人と違って、だいぶネジがずれている。うまく思いが伝わらず、誤解される」と自己分析し、「(事件当時は)頭に血が上った。人と関わってなかったってのがあって……」と声を落とした。
被害女性の遺族は法廷で「全てを奪われ、できるなら同じ目に遭わせたい。一生刑務所に入れてほしい」などと厳罰を求めた。少年は女性に対して「申し訳ないです」としたものの、遺族への感情は「頭の中で色々整理していて、今はうまく言葉にできない」と考え込んだ。
記者が「命を奪ったことは取り返しがつかない。償いをどう考えるか」と問いかけると、「すぐに『償います』って言うのは偽りだと思うので、すぐには答えられない。クズのままかは自分次第。じっくり考えたい」と話した。