24日に鹿児島市・桜島で起きた噴火は、火山の専門家の間では、地殻変動や火山性地震の観測データから、火山活動としては通常の範囲内に収まっているとの見方が強い。
「大正大噴火と全く異なる」
井口正人・京都大教授(火山物理学)は「桜島の通常の火山活動の延長で、大規模噴火の兆候はない」と分析する。井口教授は京大防災研究所・火山活動研究センター(鹿児島市)で約40年間、桜島の研究を続けている。また、防災科学技術研究所(茨城県つくば市)の中田節也・火山研究推進センター長は「小規模なマグマ噴火を繰り返している桜島のいつも通りの噴火と言える」と話す。
桜島は活発な火山活動で知られる。1914(大正3)年には58人の犠牲者を出した大正大噴火が起きた。この地域の火山噴火で生じ、鹿児島湾を形成する地形「姶良(あいら)カルデラ」の地下には、大正大噴火と同じ規模のマグマが蓄えられていることが分かっている。
近年で活動が活発化したのは2015年8月だ。山頂の一つ「南岳」の直下を震源とする火山性地震が急増し、山体の膨張を示す急激な地殻変動が観測された。気象庁が噴火警戒レベルを4(当時、避難準備)に引き上げ、住民に避難勧告が出された。その際は、地下のマグマだまりにあるマグマが地層や岩石を貫いて進む現象「貫入」が起きたものの、それより上昇しなかったため大規模噴火を免れた。
京大防災研の為栗健・火山活動研究センター准教授(火山物理学)は「大規模な噴火になると、それに見合うマグマが地下から上がってくる。その過程で有感地震や、地盤変動が観測される」と説明する。その上で今回の噴火は「爆発前に、ごく微弱な地面の盛り上がりが観測されたものの、地殻変動や地震活動は大正大噴火や15年の火山活動とは全く異なるもので、100分の1~1000分の1だ」と話す。
井口教授も「大きなマグマだまりからの貫入は確認されていない。姶良カルデラの地殻変動はなく、南岳の地下のマグマだまりは地殻変動が多少あるが、危険な兆候とはみていない」と説明する。ただ「大正級の噴火は将来起きる可能性があり、被害は深刻だ。この機会に心づもりと備えが必要」と指摘する。
大きな噴石、2.5キロ飛ぶ
今回、気象庁は火山監視カメラの映像で、火口から東方向へ2・5キロ地点で飛散した大きな噴石が確認できたことから、噴火警戒レベルを3(入山規制)から5(避難)へ引き上げた。警戒レベルの運用指針となる判定基準で、5へ引き上げる要件を「大きな噴石が火口から2・4キロ以上飛ぶこと」と規定しているためだ。
井口教授は「大きくはない空振(爆発の震動で空気が揺れる現象)だったのに、なぜ噴石が2・5キロも飛んだのかは疑問」と話し、噴火のメカニズムについて詳しい解析を進める。【垂水友里香、池田知広】