「世界基督教統一神霊教会(通称:統一教会)」から「世界平和統一家庭連合」への名称変更が認証された当時の下村博文元文科相(68)の“支援者名簿”に、統一教会の関連団体幹部5名が記載されていたことが、「 週刊文春 」が入手していた事務所の内部文書でわかった。
統一教会の関係性を示す別の内部資料を入手
「週刊文春」7月28日号では、内部文書を基に、統一教会の関連団体「世界平和連合」の大塚正尚氏(「国際勝共連合」の会計責任者を兼務)が2014年に下村事務所に陳情したり、大塚氏や、統一教会系メディア「世界日報」政治部長(当時)の早川一郎氏が2013年から2014年にかけて計8万円分、後援会「博友会」のパーティ券を購入していた実態などについて報じた。下村氏は当時、宗教法人を所管する文化庁を外局に擁する文科省の大臣(在任期間2012年12月~2015年10月)だった。
下村氏と統一教会の関係性を示す別の内部資料が、〈2014選挙名簿〉と題されたエクセルファイルだ。更新日時は2014年11月14日で、衆院選の投開票日(12月14日)のちょうど1カ月前。全国の支援者が並ぶ名簿には、以下のような記載があった。
〈阿部正寿 世界戦略総合研究所 会長
小林幸司 世界戦略総合研究所 事務局次長
木下義昭 (株)世界日報社 代表取締役社長
早川一郎 (株)世界日報社 編集局次長 政治部長
谷尚美 世界平和女性連合 東京第六連合会 事務局長〉
統一教会によれば、「世界戦略総合研究所」会長の阿部氏は、「1970年代に教団の広報委員長を務めていた」人物。「世界日報」は教団の機関紙として知られ、NGO団体の「世界平和女性連合」も教団の関連団体の一つだ。
世界戦略総合研究所は「支援者名簿に名があるだけ」と回答
自民党関係者が言う。
「2009年の衆院選で、下村氏の東京11区に新党日本から出馬したのが、統一教会問題を追及してきた有田芳生氏でした。この時の選挙では、その有田氏に約3000票の僅差に迫られた。以降、下村氏は地盤強化を図ります。特に宗教団体は結束が固く、“集票マシーン”として機能する。統一教会にしても、有田氏は“共通の敵”。下村氏の支援に力を注いでいくことになりました」
2014年12月の衆院選で下村氏は、共産党候補らに約8万票の大差をつけ、7回目の当選を果たした。
その後、文化庁は2015年8月、統一教会の世界平和統一家庭連合への名称変更を認証している。
世界戦略総合研究所に事実関係の確認を求めたところ、以下のような回答があった。
「当時当団体では、教育再生に関心を寄せており、文科大臣であられた下村議員に教育再生を断行してほしいとの期待から後援会に登録させていただき、数回の博友会の会合に参加させていただきました。(中略)
博友会の会合に参加してた関係で支援者名簿に名があるだけで、選挙戦では選挙区も違うためなにもお役に立っておりません。
当法人と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は一切の関係がございません。寄付を含め、世界平和統一家庭連合からは協力、支援、援助を受けたことはございません。また、当法人から、世界平和統一家庭連合に対し、協力、支援、援助をおこなったことは全くございません」
文書の存在をどのように説明するのか
下村氏に事実関係の確認を求めたところ、以下のような回答があった。
「政治活動は法令に従い適正に行っています。(中略)地元などの様々な個人や企業団体のみなさんが参加されて政治活動を行っているところですが、政治活動の自由の観点から個別のご質問については回答しておりませんのでご理解ください」
統一教会を巡っては、霊感商法が社会問題化してきた一方で、特定の政治家を選挙で支援していた問題が指摘されている。そうした中、文科省の大臣として宗教法人の認証に影響力のある立場だった下村氏が、自らの選挙で統一教会の関係者から支援を受けていた可能性を示す文書の存在が明るみに出た。下村氏がどのように説明を行うのか、注目される。
7月27日(水)12時配信の「 週刊文春 電子版 」および7月28日(木)発売の「週刊文春」では、名称変更を巡る下村氏の説明が変遷した経緯や、旧統一教会が本気で応援してきた国会議員の実名のほか、統一教会の告発手記を発表する直前に襲撃された元幹部の証言、合同結婚式を取り巻く「性とカネ」の問題など、9ページにわたって「統一教会の闇」と題した特集を掲載している。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年8月4日号)