ユネスコ、金山崩壊部分の説明欠落を指摘 佐渡金山の世界遺産登録で

末松信介文部科学相は28日、「佐渡島(さど)の金山」(新潟県佐渡市)の世界文化遺産登録について推薦書を国連教育科学文化機関(ユネスコ)に再提出すると表明した。2月に政府が提出した推薦書の記述にユネスコから不備を指摘されて審査が止まっており、政府が目指していた2023年の登録は「難しい状況」と述べた。首相官邸で報道陣に明らかにした。
ユネスコ、推薦書を送らず
世界遺産は、ユネスコの諮問機関「国際記念物遺跡会議」(イコモス)が推薦書や現地調査などを基に事前審査した上で、推薦書の提出から約1年半後、登録の可否が決まる。ただ、今回はユネスコがイコモスに推薦書を送っていなかった。文化庁によると毎年、ユネスコには約40件の世界遺産申請があり、2割程度が未送付になるが、日本の推薦では初めて。
義本博司文科事務次官がユネスコ本部に出向いて再考を求めたが、認められなかった。政府は23年2月までに推薦書を再提出して登録を目指す方針で、登録は24年以降の見通し。末松氏は「日本側の説明に問題はなく、正しいと確信しているが、早期に進めるための苦渋の判断」と説明した。
「韓国の反対、無関係」
文化庁によると、ユネスコは、佐渡金山を構成する「西三川(にしみかわ)砂金山」に関する記載の不備を指摘。砂金を取る際に使われた導水路の崩壊が激しく、途切れている部分の説明が欠落しているとした。同庁は「もともとつながっているため(途切れている部分も)一体のものだ」と捉えて推薦書を作成していた。今後、佐渡市や新潟県と協議し、指摘された部分の内容を検討する。
佐渡金山の登録を巡っては、韓国政府が申請前から朝鮮半島出身者の強制労働の現場だったと主張し、反対している。今回のユネスコの指摘は遺跡に関する記載内容のみで、文化庁は「(韓国の反対と)ユネスコの指摘は無関係と受け止めている」としている。
一方、佐渡市の渡辺竜五市長は「早期の世界遺産登録の実現を目指し、イコモスの現地調査に万全を期すため、官民一体で取り組みを進めていただけに大変残念だ」などとコメントした。【深津誠、安部志帆子】