前宮崎県知事でタレントの東国原英夫氏(64)が17日に宮崎市内のホテルで任期満了に伴う県知事選(12月8日告示、25日投開票)への出馬表明を行うことが分かった。同氏の後援会事務所が14日、発表した。この日、放送された「ビートたけしのTVタックル」(テレ朝系)で選挙前に予定していたテレビ番組の放送をすべて終えた。
会見の場所は、2006年12月に出馬表明をした際と同じ「アートホテル宮崎スカイタワー」を選んだ。15日には、県選挙管理委員会に政治団体の設立を届け出る。その後は県内に拠点を移し、本格的な政治活動を始める。14年宮崎県知事選、21年福岡県知事選では、政界関係者から具体的な打診を受けたが、断りを入れている。自身の「原点」と語る宮崎への思い入れは強く、再出発を決めた。
関係者によると、6月頃から支援者らと出馬に向けた検討を本格的に開始。様々な場所でミニ集会を開き、「宮崎をまた盛り上げて欲しい」という声もあったが、「1期で知事を辞め、都知事選に出るために宮崎を踏み台にした」、「現状維持で問題ない」など賛否両論の意見に接した。家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」の流行で約29万頭の牛や豚を殺処分した経緯や責任などについても説明してきたという。7月中旬ごろには、出馬の意向を固め、師匠のビートたけし(75)や芸能界時代の友人らにも報告した。
東国原氏は7日、宮崎市内で知事選への対応について「ニュートラルで俯瞰(ふかん)している」と話していた。知事候補者については、崎田恭平前日南市長(43)、池田宜永(たかひさ)都城市長(51)の名前を挙げ「手を挙げないか、と心の中で期待している」と発言。現職の河野俊嗣知事(57)については「官僚ですから、事務能力は高い」と述べていた。
知事選を巡っては、河野氏が昨年11月に4期目を目指して出馬すると表明。経済団体などが推薦を決めた。自民党県連は20日に会合を開き、知事選への対応を協議する。自民党本部では、4期目以降の選挙についての推薦は行わない方針。共産党は独自候補の擁立を模索する。現職と前職が対決するという異例の選挙戦になる可能性がある。
◆東国原 英夫(ひがしこくばる・ひでお)1957年9月16日、宮崎県都城市生まれ。64歳。専大卒業後、82年、ビートたけしの一番弟子となり「そのまんま東」として活動。軍団NO2として体当たり芸や作家活動を行う。00年4月、早大第二文学部入学、04年3月卒。同4月に早大政経学部入学(06年3月、退学)。07年1月、宮崎県知事に。現在は時事問題についてのコメンテーター、俳人として活躍。
◆これまでの政治活動
▼2007年1月 元知事が関与した官製談合事件で県政への不信が高まる中、宮崎県知事選挙にタレント時代の芸名「そのまんま東」として、立候補。「泡沫(ほうまつ)候補」の下馬評を覆し、26万6807票を獲得、初当選。その後は、本名の東国原英夫として活動。県職員に「裏金はありませんか? 」と問いかけるなど話題に。
▼同12月 「(宮崎を)どげんかせんといかん」が「新語・流行語大賞」に選出。県産品や観光地などが注目され、空前の宮崎ブームを起こす。
▼11年1月 宮崎県知事を1期で退任
▼同4月 東京都知事選に無所属で立候補。169万票を獲得するも、現職の石原慎太郎氏(故人)に約90万票差の2位で落選。
▼12年12月 衆院選に日本維新の会から比例近畿で立候補、初当選
▼13年12月 党内対立が深刻化し、議員辞職。