高橋容疑者、AOKI商品の「審査を急ぐべきだ」…IOCに自ら連絡・要望も

東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、大会組織委員会理事だった高橋治之容疑者(78)が、紳士服大手「AOKIホールディングス」の公式ライセンス商品の迅速な承認を国際オリンピック委員会(IOC)側に要望した疑いがあることがわかった。公式商品の審査を急ぐよう組織委幹部に働きかけた後、IOC側に連絡したという。東京地検特捜部は、一連の働きかけをAOKI側の依頼(請託)を受けた便宜供与の一環とみている。
組織委などによると、公式商品を販売するには、デザインなどについて組織委とIOCの審査と承認を受ける必要がある。両者が承認すれば、組織委とライセンス契約を締結し、一定の期間に販売できる。
関係者によると、2018年に大会スポンサーとなったAOKIは、自社の公式商品を早期に販売するため、審査の迅速化に関して高橋容疑者に依頼。高橋容疑者は、組織委マーケティング局幹部に対し「審査を急ぐべきだ」などと求めた。幹部がIOCの承認手続きに時間がかかっていると説明すると、高橋容疑者は自らIOC側に連絡し、迅速な承認を要望したという。
この後、承認を受けたAOKIは、19年夏から五輪エンブレム入りのスーツやジャケットなどの公式商品を一般向けに販売。計約3万着を売り上げた。
このほか、AOKI側は21年6月、高橋容疑者に対し、同年末で満了する公式商品の販売期間の延長を依頼。高橋容疑者は、同局幹部に「AOKI側が、販売期間の延長を希望しているから対応するように」などと伝達していた。手続き上の問題で、延長は実現しなかったという。
高橋容疑者は、AOKI側から五輪事業で有利な取り計らいを受けたいという依頼を繰り返し受け、17年10月~今年3月、謝礼として五十数回にわたり計5100万円の賄賂を受領したとする受託収賄容疑で17日に逮捕された。AOKI前会長・青木

拡憲
(ひろのり)容疑者(83)らも贈賄容疑で逮捕された。
高橋容疑者はAOKIがスポンサーに選ばれる過程でも、AOKI側に格安のスポンサー料を提示して契約締結に同意を得た上で、組織委などに仲介した疑いがあることが既に判明。特捜部は公式商品を巡るIOC側や組織委側への働きかけも含め、複数の便宜を図っていたとみている。
高橋容疑者は大手広告会社「電通」出身でスポーツビジネスに精通し、IOC委員でもあった国際サッカー連盟(FIFA)のゼップ・ブラッター前会長など、国内外に幅広い人脈を持つ。
高橋容疑者は特捜部に対し、逮捕前の任意段階で「(組織委側に)審査の手続きを早くしてほしいと求めたが、公式商品全体についてだった」と説明し、AOKI側からの資金提供については「五輪とは関係ないコンサルタント料だ」と容疑を否認。青木容疑者も贈賄容疑を否認しているという。