虐待の疑いがあるとして、大阪府警が2021年、児童相談所(児相)に通告した18歳未満の子どもは1万2025人に上り、8年連続で全国最多だった。どうやったら子どもの命を守ることができるのか。実の子どもを暴行したとして罪に問われた女性の公判を通じて考えた。
「自分も虐待受けて育った」
7月15日、大阪地裁の803号法廷。裁判官が「(子どもが)死んでしまったらどうするつもりだったんですか」とただすと、被告として出廷していた女性(38)は涙を流した。「申し訳ない気持ちでいっぱい。自分の行動を悔いている」。女性はタオルケットで顔を覆いながら声を絞り出した。
女性は3~4月、寝屋川市の自宅で4歳と生後4カ月の娘2人に平手打ちなどの暴行を加えたとして暴力行為等処罰法違反の罪に問われた。証人として出廷した夫によると、虐待は長女が3歳の頃に始まったという。女性は「しつけの一環のつもりだった。言うことを聞かせるためにしていた」と起訴内容を認め、7月26日に懲役3年、保護観察付き執行猶予5年(求刑・懲役3年)の判決が言い渡された。女性は控訴せず、判決は確定した。
判決は暴行の常習性を認め、「しつけの名を借りた児童虐待だ。体罰という恐怖で支配され続けた長女の精神的苦痛は計り知れない」と非難した。一方、母親としての愛情が全くなかったとは言えず、反省しているなどとして執行猶予を付けた。女性は育児ストレスを感じていたが、周囲には相談できなかったという。「親から虐待を受けて育った。自分がされたこと以下なら大丈夫だと思った」とも語った。今後、感情をコントロールできるよう専門的な治療を受けるという。公判を通じ、女性が気軽に悩みを相談できるような場があれば、状況は変わっていたのではないかと感じた。
子のSOS、LINEで相談も
一方、虐待などに苦しむ子どものSOSをキャッチする取り組みも重要だ。大阪弁護士会の「子どもの権利委員会」に所属する弁護士は無料通信アプリ「LINE(ライン)」を使った相談会を21年10月から2カ月おきに実施している。相談は無料。対象は府内に住む20歳未満の子どもで、家庭問題などに精通した弁護士がアドバイスや支援にあたる。
委員の清水周(あまね)弁護士によると、7月は2日間実施し、計7件の相談が寄せられた。内容は、虐待の疑いなどの家庭内トラブルと、学校内でのいじめが半々だった。ケースによっては継続的に相談に乗り、児相など関係機関との連携も検討するという。
清水弁護士は「親や学校の先生には言いづらいことなど、何でも相談してほしい」と呼び掛けている。8月は24日午後5~7時と、25日午後4~6時に開催する。相談先のLINE公式アカウントは「子どものためのLINE無料相談会」。【山本康介】