全数把握、東京都は継続 小池知事「命と健康守る」

小池百合子都知事は25日、新型コロナウイルスの感染状況を分析するモニタリング会議で、全ての感染者の情報を特定する「全数把握」に関し、「当面、現在の運用を続けていく」と述べた。政府は都道府県の判断で高齢者ら重症化リスクが高い人に限定できるよう改める方針を示したが、感染動向や患者の健康状態の把握にはこれまで通りの手法が必要と判断した。
全数把握には、診断した医師が全ての患者の氏名や年齢などを記した「発生届」を保健所に提出する必要があり、感染拡大期には医療現場の業務が逼迫(ひっぱく)する要因の一つと指摘されてきた。政府の方針は医療従事者の負担を緩和するものだが、発生届の提出を重症化リスクが高い人に限定すれば、感染動向の正確な把握は困難になる。
モニタリング会議では、賀来満夫・東北医科薬科大特任教授がクラスター(感染者集団)の捕捉や新たな変異株の病態変化の分析、患者一人一人の健康状態の把握が十分にできなくなることなども懸念材料に挙げ、全数把握の見直しについて「拙速に実施するのではなく適切に対応していくことが必要だ」と述べた。
小池氏は「一番大切なことは都民の命と健康を守ること。都は一人一人の患者さんを大事にしていく」と述べ、これまで通りの全数把握を続けることに理解を求めた。
一方、会議では現在の感染状況について、直近7日間を平均した1日当たりの新規感染者数は8月3日に過去最多の約3万2112人まで増加したが、その後は減少傾向が続き、24日は約2万253人だったことも報告された。ただ、感染者数そのものは高い水準が継続しており、警戒度は4段階のうち最も高いレベルを維持した。
入院患者数は20日に過去最多の4459人に上り、病床使用率も50%台後半を推移する状況が続いている。医師や看護師らの間で感染が広がっていることも業務逼迫の要因となっており、専門家は「十分に人員を配置できない状態が長期化し、医療機関への負担が増している」と指摘した。
小池氏は感染の収束に向け「自分と大切な人を守るために感染防止対策の実行をお願いする」と述べ、対策の徹底を重ねて求めた。