知床観光船事故 遺体引き渡しで日露合意 海保巡視船をサハリン派遣へ

北海道・知床半島沖の観光船「KAZU Ⅰ(カズ・ワン)」沈没事故で、ロシアが不法占拠する北方領土・国後島や極東サハリンで見つかった乗員乗客とみられる男女3人の遺体について、日本側への引き渡しが日露両政府で合意したことが27日、海上保安庁への取材で分かった。海保の巡視船を9月にも派遣し、サハリンのコルサコフ港で遺体を引き取る方針。日露関係が悪化している影響も懸念されたが、発見から3カ月以上を経てようやく引き渡しが実現する見通しとなった。
関係者によると、当初は北海道本島と北方領土との間の洋上で遺体を引き取る案も検討されていたが、7月25日にロシア外務省から在ロシア日本大使館を通じ、サハリンでの引き渡しを希望すると連絡があり、政府で具体的な引き渡し方法などを検討。今月23日夜にロシア側から連絡があり合意に至ったという。
海保は大型巡視船をサハリンに派遣し、現地で遺体を引き取る方針。
引き渡される遺体は、国後島で発見され、ロシア側から6月にそれぞれDNA型が一致したとの連絡があった乗客の女性と曽山聖(そやまあきら)甲板員=当時(27)=とみられる遺体、サハリン南部で見つかった男性の遺体。政府が引き渡しに向けロシアと外交ルートで調整を続けていた。
沈没事故は4月23日に発生。乗客乗員26人のうち、これまでに乗客14人の死亡が確認され、12人が行方不明のままとなっている。