コメどころとして知られる山形県の庄内地方で、地元産米で醸した地酒を楽しもうという取り組みが広がっている。発売された酒はいずれも好評といい、6月の山形県沖を震源とする地震で被害を免れた原酒を蔵出しした酒を販売する予定もある。【長南里香】
県水田農業試験場(鶴岡市藤島山ノ前)で開発された酒造好適米「出羽燦々(さんさん)」を60アールの水田で栽培し、亀の井酒造(同市羽黒町戸野福ノ内)で醸造した酒が純米大吟醸酒「藤島」。10軒の酒販店で作る「ふじしまの酒おもしろ倶楽部」と地酒ファンが2002年から始めた取り組みで、今季で17作目となる。藤島地域では10日、酒米の刈り取りが行われた。
五十嵐悦生代表(60)は「3年も続かないと反対したが、甘みの中にキレがある味わいが好評で、リピーターに支えられている」と話す。来年1月に仕込み、4月に720ミリリットル瓶2500本が限定販売される。
一方、新顔は今年4月にお披露目された純米酒「イ号弥太右衛門」。昨年、約90年ぶりに復活した三川町生まれの幻の主力米「イ号」を使った酒で、町によると、町内で発売された1000本が1カ月で完売した。「さわやかな余韻が残る酒」として好評だったという。
醸造を手掛けた渡会本店(同市大山2)は10月1日から、秋まで保存した原酒を蔵出しとして100本限定販売する。渡会俊仁社長(55)は「味わいが濃くまろやかに熟成した」と話す。蔵では6月の地震で保管していた1000本以上が割れるなど大きな被害に見舞われたが、原酒は奇跡的に無傷だったという。