夫や子供にも偽名…公判で語られた「ママ友」の半生 福岡・5歳餓死

福岡県篠栗(ささぐり)町で2020年4月に碇翔士郎(いかり・しょうじろう)ちゃん(当時5歳)が十分な食事を与えられず餓死した事件を巡り、翔士郎ちゃんの母親を精神的に支配し食事制限を指示したなどとして、保護責任者遺棄致死罪などに問われた「ママ友」の赤堀恵美子被告(49)に対する裁判員裁判の初公判が29日、福岡地裁(冨田敦史裁判長)であった。
「久しぶりの友達だった」
前の夫からの暴力を恐れ、今の夫と子供には偽名を名乗っていた――。保護責任者遺棄致死罪などに問われ、福岡地裁で29日開かれた「ママ友」の赤堀恵美子被告の初公判で、弁護側は被告の半生をこう語った。餓死した5歳児の母親で、同罪で有罪判決を受けた碇利恵被告についても、弁護側は「(前夫から)身を隠していた時間が長く、本当に久しぶりの友達だった」などと説明した。
弁護側によると、赤堀被告は福岡県大川市で生まれ育ち、地元の高校を卒業後、一般の企業に就職。その後、何度か仕事を変え、医療機関で看護助手をしていたこともあった。
27歳で前の夫と結婚したが、工具で頭を殴られるなど家庭内暴力を受けたといい、35歳の時に家を飛び出して現在の夫と暮らし始めた。再婚後も前夫に見つかるのを恐れ、今の夫や子供たちには「ゆうな」と偽名を名乗っていたという。
この日の公判で赤堀被告は、上下とも紺色の服に白髪交じりの髪を後ろに束ねて入廷した。起訴内容を否認後、席に座って検察側の冒頭陳述を聞きながら、メモを取るなどしていた。検察側の証拠説明では、弁護士に渡されたファイルをめくりながら、証拠の画像を確認するなどしていた。
地裁前には午前10時の開廷前から24枚の傍聴券を求め、263人が集まった。【平塚雄太、河慧琳】