保育中に男児20人にわいせつな行為をしたなどとして、強制性交等罪や児童買春・ポルノ禁止法違反などに問われた元シッターの橋本晃典被告(31)に対し、東京地裁は30日、起訴された全56事件を有罪とし懲役20年(求刑・懲役25年)の実刑判決を言い渡した。古玉正紀裁判長は「犯行件数が際立って多く悪質。常習性は顕著で、被害者の健全な成育への悪影響が強く懸念される」と指摘した。
判決によると、橋本被告は2015年8月~19年12月、東京都や広島県などで当時5~11歳の男児20人の下半身を触ったり、その行為をスマートフォンで撮影したりするなどした。被告は保育士の資格があり、シッターの依頼を受けた家庭やボランティアで参加したキャンプの宿泊施設などで立場を利用してわいせつ行為を繰り返した。
被告は被害者2人については「スキンシップだった」などと起訴内容を否認したが、判決は被告が執拗(しつよう)に下半身を触っていたなどとして性的意図を認定。「一部の被害者は肉体的、精神的に多大な苦痛を味わっている。保護者らが厳罰を望むのは当然」と非難した。
厚生労働省によると、03~20年にわいせつ行為を理由に登録が取り消された保育士は計64人。今年6月の児童福祉法改正で有罪確定者の再登録禁止期間は、刑終了後2年から、禁錮刑以上は最長10年・罰金刑以下は3年に厳格化され、再登録には都道府県の審議会の審査が新たに義務付けられた。【志村一也】